[漫画]アグネス仮面

海外でのプロレス武者修行から帰国したレスラー、山本仁吾は所属団体
「大和プロレス」が「帝日プロレス」に潰されていた事を知る。
道場破り然で帝日に乗り込む山本だったが、帝日社長マーベラス虎嶋の
卍固めに敗北。無理矢理、帝日に取り込まれ(しかも虎嶋の言い間違いで)、
マスクマン「アグネス仮面」としてデビューさせられてしまう。
その後もダメ相棒マチルダ仮面とタッグを組まされたり、道場破りの相手を
する破目になってしまい・・・というプロレスギャグ漫画。

【良い点】
・独特のギャグセンス。登場人物ほぼ全員、頭のネジが緩く、自分勝手だったり
いい加減だったり、物凄い濃い面々。彼らのノリと勢いで話が転がって行く様は、
笑えるやら頭が痛いやら。予測不能な展開の数々に驚き笑わされた。
自分は正直プロレスへの造詣は深くないが、十分楽しめる。プロレスに詳しいと
さらに楽しめるのではないか。

【悪い点】
・突然ENDで、やや不完全燃焼。連載時は「どう見ても打ち切り」という印象だったが、
真相のほどは?
・自分勝手なキャラの暴走で被害を被ってシャレにならないケガをしてるレスラーも
居るので、笑ってばかりいられない側面も。現実のレスラー達のメンタルがコレに
近かったら、マジ怖い。

【総合評価】
「とても良い-」。凄い漫画なんだが、唐突に終わってしまい実に勿体無い、と同時に、
プロレスらしい、とも思った過去が。物凄く濃くていい加減なキャラ達が暴走しまくる
パワフルかつ馬鹿な漫画。こんな馬鹿漫画を描ける作者は天才に違いない、と思う。
お奨め。ただし、いきなりENDは覚悟の上で。

私はニワカですけどプロレスが好きで、そんな私の意見としてプロレスというのは
プロレスをどう演じるのが大切だと私は考えていまして、そのため個人的なポイントは
格闘技ではなくプロレスを、どう表現できるのか。だと考えています

そして本作はその違いが表現できていたんです。リング上の駆け引きが絶妙で
その作画もあって迫力のある画面を生み出せていていたし、ハッタリをどう迫力が
あるようにみせるのかっていう演出がすごく上手い。画面が格闘技漫画の熱さ!
ではなく、プロレス漫画の熱さ!になっているのが素晴らしいと感じました

ストーリーは潰れたプロレス団体の復興を目指すという、いわば王道でしたけど
内容が特殊なせいで、あまり王道を感じないオリジナルの濃さを感じられました

評価は【良い】とさせていただきます。
そうそう。プロレス漫画ってジャイアント馬場やアントニオ猪木のモドキのキャラが
必ずといっていいほど登場しますけど、今回も当たり前のように登場してました