カットされても別に良い、みたいな話。

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2020/07/08 「カットされても別に良い、みたいな話。」 分類: コラム的な
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先日「金曜ロードSHOW!」にて「レディ・プレイヤー1」が放送された。

僕がこの映画で好きな台詞がこれ。
「猛スピードで後ろに向かって逆戻り、めいっぱいアクセル踏んでさ…"ビルとテッド"みたいに」

「ビルとテッドの大冒険(1989)」「ビルとテッドの地獄旅行(1991)」は当時人気だったお莫迦コメディ映画だ。
テッドを演じた主演のキアヌ・リーヴスはこの映画の為にお莫迦役者のイメージが強く、後の「ハートブルー」「スピード」に主演するまでアクションが出来る俳優とは見られていなかった。

実のところ僕は「地獄旅行」のほうをテレビで見ただけなので該当のアクセル踏んでバックするシーンを覚えていない。しかしスピルバーグの映画で「ビルとテッド」が語られている事に涙が出そうなほどジーンとする。スピルバーグはハリウッドの評論家からシカトされ続けた監督だったし、ビルとテッドもコメディ映画ファンには愛されていても映画史に残る映画ではなかった。おバカコンビのビルとテッドがやった馬鹿馬鹿しい事が5年間誰も得る事の出来なかったイースター・エッグを勝ち得る唯一の手段として描かれているのだ。

…さて、実は「ビルとテッドみたいに」という台詞は、テレビ地上波放送版ではカットされていた。

検索して調べなかったが僕のツイッターのタイムラインにはこの事で不満を述べていた人は見かけなかった。僕は別に文句を言う人がいてもいなくてもいいと思っている。

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風の噂によると金ローの担当スタッフが最近変わったらしく、隙あらばジブリ作品を放送するスタッフが別部署に移動し、新たなスタッフが最近の構成をやっているらしい。

前回の日記でネタにしたBTTFでは非常に関心した事がひとつあった。
それはBTTF3の宣伝で機関車での加速シーンを一切CMに使わなかった事だ。

BTTF3公開前、100年前の世界でデロリアンがガス欠で時速140Kmに加速できないという事は薄々ネタバレしていた。なので「一体どうやって加速するのか?」という事がBTTF3で注目されていたところだった。故にBTTF3の予告編でも機関車の映像は殆ど使われていない。
そういった状況で公開されたBTTF3での列車強盗→機関車で加速!のクライマックスは最高に盛り上がる映像経験だった。映画を観た人はこの機関車の事をネタバレしないようにBTTFの面白さを語った。そうしてBTTFシリーズは映画史に残る映画となっていった。

…という当時の雰囲気を知らない若い人達がBTTF3を楽しむには、絶対的に機関車のネタバレはしないほうが良い筈だ。

リアタイでBTTFを見ている世代にとってはむしろこのシーンをチラッとでもCMに使えば視聴意欲を掻き立てられた筈だ。しかしネタバレで視聴率を稼ぐようなアコギな事をせず、これから初めてBTTFを楽しむ人を尊重した宣伝にした金ローのスタッフはとても偉いと思う。きっと本当に映画が好きな人が采配したのではと思う。僕の勘違いで無い事を願っている。

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故に「レディ・プレイヤー1」で「ビルとテッド」ネタの台詞をカットした事には僕はさほど不満を感じていない。
ビルとテッドシリーズは当時よほどコメディ映画が好きでなければ知らない映画であるし、同様にマイナーなコメディ映画だった「バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー(1984)」ネタのほうはカットしようがなかったようだ(笑)。これらのネタで笑った人は僕と同世代でも結構少なかったんじゃなかろうかと思う。

元々この映画は80年代懐古趣味の映画ではなく、予告編などで見受けられた80年代テイストは本編では非常に薄い「現代的な映画」として作られている。またレトロゲームを賛美する映画でもなく、映画やアニメのネタのほうが豊富にさえ見える。80年代を知りながらこの映画に批判的な人は大体このあたりを勘違いしているように思える。

そういった映画を限りある放送時間で若い世代に面白さを伝えるには、懐古ネタはカットしたほうがスマートであろうと思う。
なのでビルとテッドネタが割愛されたとしても僕はさほど不満に思わないし、面白い映画にケチつける人よりも、面白い映画を面白いと言える人が多いほうが楽しい事のように思っている。

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実は長らく、もう数ヶ月も「批評と継承」について考え悩んでいる。

例えば僕世代が面白いと思った作品はその殆どが僕世代だけが楽しんでいるだけに終始していて、若い世代には殆ど継承されていないという現実がある。

僕が若かった頃はアニメでも映画でも音楽でも、階段を上るように進化してバージョンアップして、どんどん凄く良いものとして磨き上げられ続けていくのだと思っていた。
しかし実際にはそうなっていない。ただ良いものは良いもののまま風化し劣化して消えていっただけだった。

そうして次の世代は「以前の良いもの」に触れる事なく知る事も無く、突如湧き出した何某かを商売人のセールストークを鵜呑みにして「新しい!」「素晴らしい!」と受け入れていく。
良いものが継承されないまま次世代が別の「良いもの」を妄信し、それも継承されないまま更に次の世代にとっての「良いもの」が生まれていく。古い世代は当然若い世代の良いものが理解出来ない。別に全然良くないからだ。批評が欠落し良いものが継承されない世界では売り出している商人ウハウハ丸儲けである。

こういった問題はかなり身近な事となっていて、うまく文章にまとめてみたい気持ちがあるのだが、うまく語りきる事が出来ないでいる。
せめて、面白い作品は素直に面白いと言い続けてみたいなぁと思っている。

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