[海外映画]コンテイジョン


Contagion
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海外映画総合点=平均点x評価数701位5,013作品中総合点6 / 偏差値52.49
2011年海外映画総合点19位182作品中
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[スタッフ]
監督:スティーブン・ソダーバーグ
脚本:スコット・Z・バーンズ
製作:マイケル・シャンバーグステイシー・シャーグレゴリー・ジェイコブス

※ この説明部分にはWikipediaを参考/または引用した部分があり、GFDLのラインスが適用されます。
日本 公開開始日:2011/11/12(土)
海外 (アメリカ):公開開始日:2011/09/09
公式サイト
1. http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/
プロモーションビデオ (1個)
映画『コンテイジョン』予告編【HD】 11月12日(土)公開映画『コンテイジョン』予告編【HD】 11月12日(土)公開
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最終変更日:2011/10/28 / 最終変更者:怪盗乱馬 / 提案者:怪盗乱馬 (更新履歴)
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[推薦数:1] 2018/02/27 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2038(50%) 普通:793(19%) 悪い:1257(31%)] / プロバイダ: 11756 ホスト:11944 ブラウザ: 8287
アクションやエンタメ要素を廃すると、アメリカ映画もこのようになる!という指標的作品であり、また、実際に病気の流行や、そうなった時の現実問題も描いている警鐘作品でもあります。

【良い点】

突然の奇病や死病によって社会が混乱し、それによって1人1人がいい知れない恐怖に怯え、周囲も頼ろうにも頼れず、疑心暗鬼や、人間不信も拡がっていき、その中で人々も死んでいく・・・・・という怖さと重さを描く事で、そこいらのハリウッド娯楽作よりも、地味ではあるけど、凄みはあるという作品になったと思えます。

バイオハザードの恐怖と、死んでいく光景に、感染の恐怖、隔離される疎外感と孤独感、私情を挟んではいけない場面で、誰かを・・・という許せるかそうでないかの境界線、恐怖をダシに商売しようという浅ましい吹聴者や、それに縋る民度の低さ・・・という諸問題を地味なようでも、エグイとまではいかなくても、かなり厳しく描いています。

出演俳優達も、そうした意味では、作品で展開される恐怖と、医療にしても万能ではないことや、人間はいつだってブラックボックスを開けてしまう危険性があるのを忘れている・・・・・・というのも、そうした意味では描けたと思うし、主人公の娘が、恋人の彼氏に触れ合えない現実の辛さや重さというのも、隔離される孤独と疎外で、やるせない具合に造られていたと思えます。

【悪い点】

破滅カタルシスのようなものがなく、かといって、ハッピーエンドとも呼べないラストは、人によってはスッキリしないと思えますし、そうしたラスト展開での説明不足が顕著だし、日一日と経っていく経過を描くにしても、わざわざ日数をカウントするのを付ける意味は無かったとは云いませんが、途中から妙に投げやりになってきたような感じがするし、その上「なんでそんなに日にちを経たせたの?」という作品作りの詰めの甘さと大雑把さも見受けられました。

大雑把でも、ある程度説得力があれば、多少は見る目や視点も変わったかも知れないですが、そこまで描く事は出来なかった様に思えます。

【総合評価】

鳥インフルや、エボラ熱という恐怖と脅威というのは現実にもあります。しかし、一方で作中のろくでなしのホラ吹き男が云うような「政府見解と発表は間違っている!」というのは、本作ではともかく、現実の政府の姿や対応などに対し「本当か?」、「根拠を説明できるのか?」ということへの根強い不信も、社会の中では渦巻いていることも確かですし、実際そうやって恐怖をダシにして、支配体制や、批判の矛先を逸らす・・・なんてことは何処の国の政府も権力者も・・・なのだから、その意味では本当に国や政府に対する不満と不信が払拭出来ない事も否めません。

現実に起こったことで、暴動や、封鎖によって生じる疎外感は主人公と娘の姿にも表れているし、ラストシーンのコウモリのフンを食べたブタから感染する・・・というイメージを見てみると、ブタは隔離され、人と接し会うことを許されない感染者達のようだし、コウモリ達は自由に行き来出来ても、迷惑を吹聴したり、噂が生き物のように拡がっていく・・・というのを揶揄した光景のように思えます。

そうした意味では、21世紀の洋画では珍しく重いテーマの作品になっただろうし、EDロールの不気味な曲も、警鐘という意味で印象深いです。

2014/11/24 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:761(51%) 普通:417(28%) 悪い:314(21%)] / プロバイダ: 26839 ホスト:26764 ブラウザ: 9931
未知の感染症の脅威を描いた「パニック映画」の体裁を取りつつも、実際はパンデミックの過程で起こり得るあらゆる事象を客観的な視点で淡々とシミュレートしていく、変則的なセミ・ドキュメンタリーとしての性格が強い一編。
それ故に、所謂「エンタメ作品」としての面白さを期待して鑑賞に臨むと、あまりにも起伏の無い展開に面喰らう事でしょうね。

発症のメカニズムを探るべく奔走するも殉職者さえ出してしまうWHOスタッフの苦闘、懸念される細菌テロの可能性、情報への飢餓感を利用してネットで特効薬の噂を流布し「救世主」に祀り上げられるクズの存在、「感染発祥地」としての責任追及から逃れる為に口裏を合わせる某国、特効薬が入手出来ない苛立ちから暴動に走る人々、完成したものの流通するまでに1年もの時間を要するワクチン、ワクチン配布の優先国へと繰り上げさせる為にWHOスタッフを人質に取る某国の焦燥…約2時間もの間、現実に起こり得るシチュエーションばかりを延々と見せ付けるだけの内容に徹している事も有って、ドラマチックな展開を望む観客からすれば「退屈」に映るのも頷けます。
実際、肝心の新型ウィルスも「突然」といった感じで終息に向かうし、捏造が発覚して逮捕されたクズも信者からの保釈金で釈放と悪い意味で「現実的」な顛末を迎える描写が多く、極限まで娯楽性を廃したストイックにも程が有る作劇には肩が凝りました。人に因っては、上映時間以上の冗長さを味わった事でしょう。
群像劇の体を取っている事も有って「主役」と思しきキャラが複数存在し、入れ替わり立ち代り主導権を握るのも微妙に煩わしかったです。

とは言え、「ドキュメント」としての観点からすれば非常に見応えが有り、描かれた1つ1つのシチュが異様なリアリティを伴って自分の危機意識へ揺さ振りを掛けてくる様には慄然とさせられました。初回時よりも再鑑賞時の方が、本作に込められたテーマを一層実感出来るでしょうね。
個人的には序盤で登場人物達が予想していた通り、感染源が「蝙蝠」と「豚」経由だった事に些か落胆させられましたが…「未知の細菌」なんだから、も少し意外性が有っても良かった気はしますね。評価的には「普通」寄りの「良い」という事で。

2013/11/08 普通(+0 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2206(58%) 普通:772(20%) 悪い:858(22%)] / プロバイダ: 16515 ホスト:16546 ブラウザ: 5386
ウイルスパニックものの映画ですが、本当に娯楽性がないんですよね…。
正真正銘、ドキュメンタリーというか、シミュレーションというか…。
ただウイルスが拡散して治安が乱れるのを見せられる映画でしたね。

まあ、全体を通して緊張感はあったと思います。
こういうのはだいたいパニックで盛り上がりを見せると思うんですけど、話は淡々と進んで、パニック描写はそこまで強調されませんでしたね。それでも精神衛生上悪い生々しさが作中に散らばってた感じがしますね。
どうなっていくのか…とか気にするのではなく、身近に起こったら…という恐怖ですよね。
そのため、精神的グロっていうのもあったし、脳解剖のシーンなんかはちょっと吐きそうになりました。
脳解剖とか、豚の解体とか、こういうのを描写してくるのか…っていうのはやっぱり恐ろしい。
また、震災などのパニックを経験する中で、我々が実際に身をもって知った「どんな状況下でも金儲けをしようとする輩」の存在がストーリーをひっかきまわしたのも良いですね。

とはいえ、細菌パニックものをちょっと期待していただけに、地味で退屈な箇所もありました。
ただ、その退屈さを吹き飛ばしたのは、やはりラストで出てきた「一日目」でしょうか。
今作の冒頭は「二日目」から始まるんですけど、「一日目」は本当にラスト数分で明かされるんですよね。

この「一日目」。細菌がばらまかれるに至った些細な偶然の連なりがリアルで怖い。
引っ張った甲斐があるというか、最後の最後で出てきた「一日目」に背筋が凍りましたね。
実際にウイルスが蔓延した場合には誰もわからないであろうウイルス感染の経緯を見せつけられたのは怖かった。
これもまた妙に生々しいですし、ラストに満面の笑みで握手するシーンがウイルス感染だと思うと、やるせなくなりますね…。
なんか手づかみで食べ物を食べるのがしばらく怖くなる映画でした。

評価は「普通」。
種明かしは面白かったかとは思うんですが、別にそのラストを気にして見ていたわけではなく、特にストーリー上あまり引っ張っていなかったものだったので、ちょっと退屈なところがありましたね。

2012/05/15 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:1398(50%) 普通:0(0%) 悪い:1414(50%)] / プロバイダ: 3334 ホスト:3198 ブラウザ: 4895
よくある感染モノの中ではリアルに描かれた作品。
本当に忠実に描かれていてエンターテイメント性とかを一切排除しているので、地味だし盛り上がりとかもないしつまらなく感じる人はとことんつまらない作品だろうなって思う。

特にそういう感染モノだからホラーみたいなものを期待していたり、マット・デイモンが出ているからアクションとかを期待している人は観ない方が良いだろう。

個人的には地味なのは地味だし盛り上がりとかメリハリとかもないはずなのに、引きつけられたしテンポが良く感じたし2時間があっという間だった。
やっぱり構成とか見せ方とかが上手くて、色々な視点を交互に見せてるから退屈させないし、リアルさもあって一応謎みたいなんもあるから気になるし、何より音楽に合わせてリズミカルに進んで行くからそれがテンポを良くした最大の理由かなって思う。

キャスト陣も豪華だったし良かったし、それで一つ一つのシーンが味を出して見せてくれたってのも勿論あるし、地味なんだけどリアルで緊張感もあるからそういう恐怖とか危機的状況とかも伝わってくるんだけど、マット・デイモンが出て来ると安心感があるというかホッとするというか、何かしてくれるような感じがした。
個人的にはローレンス・フィッシュバーンも好きで強面のルックスからは想像つかないけど、日本のアニメが好きでそういった事から注目して観るようになったけど、本作では真面目な役所だけど存在感はバリバリあった。

引っ張った割に謎とかオチとかってのは単純で、ただ答えよりもこういう状況に陥った時の中身の方を大事にしていると思うし、1日目ってのを最後に持ってきたのは単純だからこその工夫だった。
最後に持ってくる事によって簡単にあっさり終わらす事が出来る。
そういった事からも結局中身の方がメインなんだろうなって思う。

最後は色々中途半端というか一見散らかしたまま何も片付けないまま終わっていったように見えるんだけど、そっから先は視聴者に預けているのかと言ったら多分そうではなくて、自分からしたらこれで良かったと思うしまとまっているように見える。
一つ一つ決着を付けていくような映画的終わらせ方ではなく、この先も永遠に時間が続いていく現実的終わらせ方を取ったんだと思う。
一応説明も入ってるし想像出来る範囲なので、まとまっているように思った。

2012/04/20 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:122(56%) 普通:13(6%) 悪い:84(38%)] / プロバイダ: 10195 ホスト:10288 ブラウザ: 13175
【良い点】
CDCや科学者の協力製作によるリアリティーの実現
安っぽいゾンビなどがでてこない
大衆心理を社会学的に考察してるところ
シネマトグラフィーがトップクオリティー

【悪い点】
大衆を俯瞰的に見る映画なので、キャラクター主体のアクション系が好きな人には不向き。

【総合評価】
これは近年では珍しい大人むけメディカルスリラーで、とてもよくパンデミック(ウイルスの世界的大規模感染)を描いており、よくできていました。Contagionという言葉は、ウイルスの感染という意味と、デマの感染という意味の二重構造になっており、後半で映画は社会学的に人間が未知の恐怖にどう対応(パニック)するかというのを俯瞰します。そこがうまかった。ウイルスものというと、必ずでてくるゾンビのような安物小道具に全く頼らずに、2009年のH1N1ウイルスパンデミックを徹底的に取材した土台を元に映画が製作されています。ふつうの映画では演出のために科学的な整合性を犠牲にするのが常識になっていますが、本作品の特色はソーダーバーグ監督が極力科学的な部分を正確に描いた点です。爆発とかCIAとか怪物とかいった安易なプロット道具は全くでてきません。60億の予算で75億の米国興行収入と、ビジネス的にも成功したのでのこういう作品がもっと増えてほしいですね。ソーダーバーグ監督独特の青みが買ったシネマトグラフィーもいい味だしていました。最近流行りの小型家庭用ビデオ使った手振れによるリアリティー演出にはうんざりしているので、カメラワークがきちんとプロがとった滑らかでスムーズなのもいいです。ウインスレットやジュードローのキャラクターもよく造詣できている上に意外な結末に驚きもあり、とても良かったです。

リアリティーに気を使ったそうで、でてくる実験器具や防護服も本物を使用したという逸話が科学雑誌に載っていました。以下、医療関係の仕事をしている点から気になった点を若干考察します(長めになったのでウイルス学に興味のある人だけ読んでください)。

まず「なぜ豚と蝙蝠のウイルスなのか?」という点が映画内で全く説明がないので一般の人には少しわかりにくいかも知れません。まずパンデミック(世界的大規模感染)の発生源はほぼ常に動物であるという原則(non-human reservoir hostという)がありまして、例えば中世ヨーロッパのペスト菌の大流行はヒマラヤ山中の地中ネズミが、1918年のスペイン風邪は鳥が、80年代のエイズはアフリカのサルが、2009年のインフルエンザは豚が、発生源(zoonotic pathogens)です。これは人類集団中に既に存在するウイルスには自然淘汰の結果、抵抗力(免疫)があるのですが、動物からのウイルスは人類にとって全く未知で抵抗力がないから、爆発的に広がるからです。野生動物にも家畜にもインフルエンザは存在しますが、異種間の感染は稀な現象なので、人間と接触機会の大きい家畜が発生源となります。馬や牛や犬や猫など全ての家畜にインフルエンザは存在しますが、特に豚は人間と豚と鳥の三種のウイルスの「混合鍋」(mixing vessels)として知られており要注意動物です。どうやって豚から人に感染するかというと、狂牛病のように食べるからではなくて、インフルエンザウイルスは唾液や鼻水に高濃度で存在してるので、例えば農家の人が豚がくしゃみしたそばにいると飛沫感染しますし、屠殺場で豚の唾液を触ったひとが手を洗わずに口や鼻を触れたりすると感染します。特に怖いのが異種動物由来のウイルスが一種の動物に存在する場合、ウイルス同士が遺伝子を交換して新しいキメラ体が生じるケースです(専門用語ではキメラでなくReassortmentといいます)。これがスーパー株(super-strains)として猛威をふるう可能性が指摘されてます。ではなぜ映画では豚と蝙蝠だったのか?という点ですが、別に蝙蝠由来のインフルエンザが特に人間に危険という証拠はないんですが、映画製作に協力したCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が最近の調査で蝙蝠を発見したのでそのネタを使いたかったのと、たぶんなんとなく「豚と蝙蝠」という組み合わせが映画的に不気味に聞こえるという演出上の理由だと思います。

次にたぶん多くの一般の方が持つであろう疑問、「マットデイモンの主人公がいったように感染生存者の抗体が入った血を使って輸血をすれば助けられるのではないか?」という点について少し説明します。B級の映画ならウイルスがでると必ず抗体が万能薬として使われますが、医療の現場からいうと、この方法が現実にとられることはまず有り得ません。この感染生存者の血を使った輸血はConvalescent transfusionと呼ばれ、19世紀には現実に使われたりしましたが、いろいろ問題点があります。まず、ドナーの血に存在するウイルスやら細菌やらが感染する危険がありますし、異種蛋白によるアレルギー反応の可能性もあります。患者は既に感染して弱っているのでさらに危険性が高まります。そもそも、全血液を交換することが無理なので400mlとか限られた血液しかとれないので、輸血と同時に抗体は薄められてる上に、抗体も半減期があるので効果が本当にでるのかもわかりません。さらにドナーの抗体濃度にも個人差があります。それでも、インフルエンザ感染者が100%死ぬと分っていれば、5%くらいの成功率でも試みるべきでしょうが、この映画のインフルエンザの致死率は「たったの」20%です。80%は助かるのです。映画ではあまり触れられていませんが、抗ウイルス剤(ノイラミニダーゼ阻害薬)や二次感染を防ぐ抗生物質が使われてるはずです。つまり、Convalescent transfusionを使わずとも80%は治癒するので、効くのか効かないのかわからない危険な輸血をすることは医療行為としては絶対できません。さらにいうと、医療行為として認められるには、何千人の患者を使った何年にもわたる臨床実験をやらなければならないので(これはこれで官僚主義という問題があるのですが)、その場での思いつきのアイデアで患者を実験体にするようなことは絶対できません。かりに効果があっても、患者から血液をとり、その血を遠心は有機溶媒などで抗体精製し、抗体の濃度や質をチェックし、これら全ての手順をFDA公認のBL3レベルの厳重な実験室で安全基準をモニターされながらやらなければならず、莫大な手間がかかり、ただでさえパンデミックで人手不足なので、ほぼ不可能です。ワクチンがすごいのは、鶏の卵を使うので安価で大量生産できる点にあります。2009年のH1N1ワクチン製作には、実に12億の卵が使われ、30億人分のワクチンを1年くらいで作りました。以上の点で、映画中、奇妙な血清療法に頼らなかったのは良かったです。

さて、これだけリアリティーに気を使ったわりには、科学的な誤りもあったので指摘しておきます。まず、パンデミック発生から2週間程度たった時点で、科学者が「ウイルスを感染させると細胞培養が死んでしまいます。豚の細胞も蝙蝠の細胞も試みましたが、死んでしまいます。細胞培養なしでは、ワクチンを作ることは不可能です」と、政府に報告するところがありますが、これは大きな間違いです。まずインフルエンザウイルスを培養するのには、MDCK細胞(Madin–Darby Canine Kidney (MDCK) )という犬の細胞を使うのが常識で、発生源が豚だろうが蝙蝠だろうが、関係ありません。また、ありとあらゆる細胞を瞬時に殺すようなウイルスは宿主を殺してしまうので、パンデミックの発生源にはなりません。ウイルスや細菌は、宿主と共生して長生きしようとするし、長生きするほど感染源としては脅威になります。さらに、映画製作者が勘違いしてるのは、ワクチン製作と、抗ウイルス剤開発の違いです。抗ウイルス剤開発には、分子メカニズムの解明がいるので細胞培養が必要不可欠ですが、ワクチン製作は、細胞なしでも有精卵(EMBRYONATED EGGS)でウイルスを培養してできます。まあ細胞培養があれば研究を助けますが、あの時点で何千万人の人間が死ぬかもという状況で、「細胞培養できないのでワクチンはできません」という科学者がいたら無責任どころではすまされません。ちなみにだいたい一つの有精卵から三つのワクチンが作られるので、前述したように2009年のH1N1ワクチン製作には、実に12億の卵が使われました。

次の間違いは、ウイルス学者が(電子)顕微鏡写真を見て、「こんなウイルス見たことないわ」というシーンです。これは、映画というのはビジュアルで見せなければならないので、このシーンを入れたかった気持ちは理解できますが、100年前の野口英世の時代ならともかく、現在はウイルス学者は顕微鏡でなくPCRを使ってDNAからウイルスを同定します。ウイルスを20年研究してるが、顕微鏡でウイルスを見たことなんで一度もないというのが普通です。だいたい見ても何もわかりません。H1N1だろうがH5N1だろうが見た目は同じです。

さらに、マットデイモンが、ほぼ映画を通してマスクも防護服もなしで歩き回るのは奇妙です。免疫というのは一般の方が考えられるような完璧なものではなく、一度かかると二度目は「かなりかかりにく」というような不完全なものです。CDCが開発した対H1N1ウイルスの最新ワクチンでも93%の成功率です。7%の人はワクチンの後でも感染します。特にストレスとか体調不良とかで健康状態が低下した時は免疫力も弱まるので感染率があがります。つまり、食料調達も困難、町中に死体があふれ、夜は盗賊を恐れて眠れないような状況では感染率が高いです。さらに、突然変異した新しいウイルスがでてくる可能性もあるので、ワクチンや感染後免疫力を獲得しても、ガードをゆるめんてはいけません。ガードといっても宇宙服のようなものを着る必要はなく顔面マスクと使い捨て手袋で防御すればいいのです。映画の中で接触による感染が強調されますが、インフルエンザは皮膚感染しません。鼻水に触った感染者がドアノブにさわり、次の人がそのドアノブをさわった手で物を食べたりすると感染するだけです。また、ワクチンをしたその日に腕輪をもらって免疫ができたような描写がありますが、ワクチン接種から免疫ができるまで1週間かかりますので、その間はワクチンは全く効果ありません。もっとも、これらの点は映画というのはわかりやすくビジュアルに伝えなければならないので、仕方がないかもしれませんが。

以上長くなりましたが、評価はとても良いです。

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2016/10/22 好印象 by (表示スキップ) 投票履歴 / プロバイダ: 21970 ホスト:21951 ブラウザ: 1975(携帯) [編集・削除/これだけ表示]
感じた事怖い/考えさせられた 
ストーリー普通(+0 pnt)
キャラ・設定良い(+1 pnt)
映像普通(+0 pnt)
声優・俳優良い(+1 pnt)
音楽良い(+1 pnt)

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記事日時:2011/12/01 [表示省略記事有(読む)]

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