[海外映画]ウォーム・ボディーズ

良くも悪くもステレオタイプが分かりやすくて、料理しやすい題材であるゾンビをラブロマンス風に料理した変わり種の定食だったという事ですか。本作は。

見たのはギャオで12月15日現在でも配信されている吹き替え版で、ゾンビ男子が本来襲撃対象だった筈の人間の女の子に惚れて助けてあげて、女の子も・・・・・・になったのですが、そのゾンビ男子・Rの心情が細やかに描かれていて、こういうゾンビだったら友達になりたいと思える魅力はありました。配役の内田夕夜氏も、今までも吹き替え映画ではよく聞く声優さんの一人ですが、20代前半と言っても十分通用するこの声の若々しさ!!流石でしたね。

グロ描写とかはあまりなく、前述通りRと人間の女の子ジュリーのラブロマンスものでしたが、随所随所で送入された洋楽のBGMも洗練された良曲ばかりで、このカップルのラブに大輪の花を添えていたみたい(?)でしたね。勿論多くの人間にとってはゾンビは敵なのは変わりなかったから、ペリーみたいにRに意地悪な事言った兄ちゃんだけでなく、ジュリーの親父だった大佐みたいにマジで殺そうとしたのもいました。まあそのせいでRがもうゾンビではなくなり(血も普通に出ていた)、大多数の人間達から攻撃・排除対象にならなくなったのはタイミング良すぎな気もしないでもなかったですが、なぜそうなったかの説得づけもされてはいたし、変に必要以上に深刻ぶって描かれていたわけでもなく、終始見ていて楽しめました。

ゾンビと、そのゾンビの成れの果てだったガイコツとかの設定もしっかりしていて、矛盾していたとか破綻していたとかはなかったし、普通に優良作だと思います。評価は「とても良い」で。

ゾンビと人間が対立するという近未来を舞台にした異色のラブコメディーといったところでしょうか。

そもそもゾンビと人間の恋愛自体はシチュエーション的にもなんとなく他の作品でも見られるものがあり、あまり新鮮さがありませんでしたが、近未来の人間とゾンビが対立するという世界観はともすれば「バイオハザード」シリーズみたいな感じになりそうなところをあえてラブコメにするあたりは斬新だったかなといった印象でしたね。

ゾンビが人間を捕食するということ自体はなかなかグロいと言いますか、そもそもそのゾンビ自体はもともとは人間だったやつもいるはずなのに、なんだかこれだと下手したら共食いしているんじゃなかろうかという感じでしたね。

とはいえ、主人公であるゾンビとそのゾンビを愛する女の子との恋愛はやはり本来食うべき対象なのに居住区に戻っても食べられないあたりは主人公の揺れ動く葛藤が描かれておりましたが、なんだか美女と野獣というよりかはタブーを超えた愛というのを題材に描いた作品だったかなと思います。

世界観的にシュールではありましたが、全体的にはそこそこの佳作に仕上がっていたように思います。

評価は「良い」とさせていただきます。