[海外映画]エリート・スクワッド


The Elite Squad
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2007年海外映画総合点38位162作品中
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作品紹介(あらすじ)

1997年、リオデジャネイロ。軍警察の特殊警察作戦大隊(BOPE)のナシメント大佐は、不毛かつ無謀な任務の日々に疲れ果てていた。ほどなく、軍警察に整備部隊に配属されてしまったネトと、大学で社会学を専攻しているマチアスが赴任するが、二人を待っていたのは警察もギャングも市民も、好き勝手放題に犯罪行為を繰り返し、しのぎを削り合う現実だった。ネトとマチアスもやがて違法行為に手を染めるが、そのことに端を発する銃撃戦によって二人はBOPEの隊員になることを決意。しかしあることがきっかけでネトがマチアスの大学で活動している密売人達と通じたギャング達によって殺害されたことから、ナシメントとマチアスらBOPE隊員達は暴力的な手段によってギャング達を追い詰めていく。

2008年ベルリン国際映画祭最優秀作品賞(金熊賞)受賞。

※ このあらすじ部分にはWikipediaを参考/または引用した部分があり、GFDLのラインスが適用されます。
監督:ジョゼ・パジーリャ
脚本:ジョゼ・パジーリャホドリゴ・ピメンテルブラウリオ・マントヴァーニ
製作:マルコス・プラードジョゼ・パジーリャ
製作総指揮:ビア・カストロエドゥアルド・コンスタンティーニゲンナ・テラノバ

※ この説明部分にはWikipediaを参考/または引用した部分があり、GFDLのラインスが適用されます。
海外 (ブラジル):公開開始日:2007/10/12
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リオデジャネイロのスラム街(ファベーラ)を舞台とした社会派のクライムサスペンス。この作品は時々「正義を貫く特殊部隊の活躍を描くアクション映画」などと紹介されることがありますが、そんな楽しい映画ではなく、現実のブラジル社会の問題を題材とした全編陰鬱な影に覆われたような作品です。

本作品は警察の精鋭部隊BOPE(「ボッピ」、特殊警察作戦大隊)とファベーラにはびこるギャングとの戦いを描いたストーリーが展開されますが、物語の背景である作中の社会状況は絶句するほど凄惨なものです。ギャングは我が物顔で街に横行し、警察は腐敗してギャングと癒着しています。一般市民、特に貧しい人々はこのような状況ではギャングや腐敗警官と折り合いをつけて生きていかざるを得ず(そうしないと生活できないし、親類縁者にどうしてもギャングの関係者がいる)、ファベーラで住民の福祉や教育の向上のために尽力するNGOも、ギャングたちに麻薬の運搬等に利用されている有様です。ギャング、警察、住民、NGOなどがことごとくこの腐敗の構造に取り込まれており、それが当然になっているという深刻で複雑な社会状況です。

主人公のナシメントが所属するBOPEは、犯罪組織と癒着した警察機構の中で、唯一腐敗とは無縁の集団として描かれています(この点に関しては、現実はそうではなくBOPEを美化しているという批判がある)。しかし、彼らも観客が素直に喝采を送れるような集団ではありません。BOPEは腐ってはいませんが、狂っています。BOPEの隊員は全人格を否定される過酷・残酷な訓練を経て、何のためらいもなく「敵」を抹殺できる殺人マシーンへと改造され、BOPEとその活動に絶対の忠誠を誓うようになります。BOPEは「正義の味方」などではなく、一種のカルト集団として描かれています(法や正義を護るのではなく、BOPEが執行するものが法であり正義であるという発想)。彼らには自分たち以外がほぼ全て敵であり、市民を護るという考え方すら希薄と言えるでしょう。

実際、作中でBOPEがやっていることはギャング顔負けであり(無論、ギャングも残忍非道である)、観客をスカっとさせるどころか恐怖させます(BOPEの暴力が自分に向けられた場合を想像したら、能天気に喝采など送れない)。中盤、それとは知らずにBOPEの隊員を殺してしまったギャングが恐怖に怯えだすシーンがあります。なぜか?それは「BOPEの隊員を殺した者は、必ず見つけ出されてなぶり殺しにされる」からです。そして、BOPEは犯人の居場所を突き止めるために、容疑者の恋人や親族を捕まえて拷問にかけます。犯人の恋人(女性)にビニール袋をかぶせ窒息させ、さらに顔面を殴りまくったり(こうすると血が飛び散らないという寸法である)、親族(子ども)を同じ方法で拷問しさらに「犯人の居場所を吐かないと、お前の尻の穴から棒を突っ込んで串刺しにする」と脅したりします。このような手段で犯人を捜し出したBOPEは、彼を裁判抜きでぶち殺すのでした。

主人公のナシメントは(物語には彼のモノローグが少なからずある)、ギャングや腐敗した一般の警察などとの果てしない戦いに疲れはて、後継者を養成したうえで引退しようとしています。彼は好感の持てる人物ではないし、家では良き夫などでは全くありません(妊娠中の妻との関係はうまくいっていない)。周囲皆敵のような殺伐とした状況で戦闘や拷問に明け暮れる毎日を送っているわけですから、到底まともではいられないと言う描写はリアリティがありました(そもそも、アメリカのテレビドラマなど登場する拷問とかを平気でやるくせに「善良」なままというキャラの方が異常であろう)。ただ、彼はBOPEの正義や行動を疑問視するようにはならず、彼と同じような殺人マシーンたりうる後継者を見つけようとしています。そして、最初はインテリの穏やかな人物だったマチアスが、様々な不幸な事件の積み重ねの果て、ナシメントと同じくBOPEの思想に染まって後継者となるのでした。本作品におけるキャラクター設定はひたすら観客の共感を拒否しているようにも見えますが、それゆえに映画の作風に適合しているものと言えます。

本作品は、「平和と正義をもたらすのは強大な力のみである。社会政策も慈善活動も意味はない。甘っちょろいことを言うな」と言っているようにも見えます。しかし、そのように短絡的に見るべきではありません。なるほど、作中では貧民街で慈善活動をしているNGOなどが、結局はギャングに利用されている姿が描かれていますが、同時にBOPEのむき出しの暴力も全体の状況を何一つ改善することができないことも示されています。この映画は複雑な社会問題を一刀両断的に解決することはできないことを、残酷な「出口なき」ストーリーの中で描いていると言えます。

この映画は方々で高い評価を受けています(ベルリン国際映画祭でも最優秀作品賞を受賞)。観て愉快な映画では断じてないですが、優れた社会派劇映画であったことは確かです(評価「とても良い」)。とはいえ、好きか?と問われれば「否」と答えるほかありません(観賞後にげっそりしてしまった)。なお、続編はもう少し視野の広い作品であり、ナシメントが今までのやり方に反省を迫られる内容になっているそうです。続編と併せて観た方がよい映画かもしれません。

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