[漫画]戦海の剣

ちょっとタイトルに合ってないかも?と思える作品であります。なぜなら空母を出しておいて、乗り込んで戦うのが、潜水艦という具合で、そして自衛隊の潜水艦同士の戦いというものへと発展していきます。

戦闘用語や、軍艦の仕組みやシステムと理解していないと楽しめないところがある作品です。それを知るか知らないかというのがありますが、クーデターの首謀者の織田にしても、立ち向かう南郷にしても、国を愛し、それぞれ国を憂いている・・・というところがあります。しかし、織田は堕落した祖国に絶望し、クーデターを興したのに対し、南郷はそれを許さないとして、それまでの護衛艦勤務だった経験を、潜水艦にも活かし、大ベテランの土佐水夫長と共に南郷に立ち向かうものの、織田の元にいる凄腕(凄耳?)のラビットマンや、南郷の云うことを聞かない無能な艦長など、強敵相手にやれることをやっていくという姿勢での戦いは、信念と守る思いのぶつかり合いであり、そうした南郷のかけがえのないものを守る姿勢と、織田の祖国を愛するが故に、クーデターを興してしまった、二人とも才能も人望もあったが故に組織からもはじき出されるような形になり、だからこそ戦わざるを得なかったという内容になっています。

愛する者を守る為にも戦う南郷と、愛する祖国への思いから激突する織田の姿は、どちらも一方的に正義という面を描いていない姿勢には熱さを哲学を感じました。その二人の周囲の人物達もまた、独自の哲学と思いで、二人に付く、もしくは叛逆するようなところを見せています。それは船というものは一人では動かせないという面も描いていて、それら1人でも欠けると、上手くいかなくなる部分も出していました。そういう純粋な船乗りとして、そして国を護る立場の重さと圧力などが描かれていたと思えます。そういう作品だっただけに、どっかの原潜ジャックして、大暴れする国粋プロパガンダ漫画とは正反対のミリタリー漫画だったといえました。

しかし、そういう内容だった為か、雑誌の休載に伴って、完結編がそちらに移行するようになったのですが、原潜プロパガンダ漫画よりも大事なものや、自衛隊の隠れた大変さと、それを使う立場の人間次第で・・・というものも描いています。けれども、そういう作品だった事が、日本大活躍!なんてのを強調する作品に比べ、存在価値が薄れてしまったのも否めないのも事実で、そこがとても残念です。