[日本映画]東京物語


とうきょうものがたり / Tokyo story
  • 悲しい
  • 考えさせられた
  • 道徳心&モラル
  • 感動
RSS
注意: これは日本映画版。その他メディアのページ: 漫画:東京物語
日本映画総合点=平均点x評価数35位3,047作品中総合点40 / 偏差値84.86
日本映画平均点2位381作品中平均点2.50=最高/16評価
1953年日本映画総合点1位13作品中
評価統計
評価分布
自分も評価投稿する
属性投票
声優・俳優2.20(とても良い)5
映像2.00(とても良い)5
ストーリー2.00(とても良い)5
キャラ・設定1.60(とても良い)5
音楽1.20(良い)5
悲しい60%3人/5人中
考えさせられた60%3人/5人中
道徳心&モラル40%2人/5人中
感動40%2人/5人中
美しい20%1人/5人中
もっと見る
属性投票する
スタッフ
監督:小津安二郎 製作:山本武 脚本:野田高梧 小津安二郎 撮影:厚田雄春 音楽:斎藤高順
美術:浜田辰雄 録音:妹尾芳三郎 照明:高下逸男

日本 公開開始日:1953/11/03(火)
プロモーションビデオ (1個)
8,4901616
最近の閲覧数
2010231010
この作品を日本映画として最高の中の最高と投票した方はまだいません。
(階位と権限/特典の関係の説明)
最終変更日:2013/09/27 / 最終変更者:mosukuwa / その他更新者: 管理人さん / TCC / 提案者:カジマさん (更新履歴)
  投稿の系統で絞込
この評価板内限定
2019/09/19 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:311(51%) 普通:90(15%) 悪い:211(34%)] / プロバイダ: 2496 ホスト:2428 ブラウザ: 8847
【総合評価】
一見淡白に描かれる老夫婦の上京と上京してきた両親を受け入れる親族らの物語。

この一見淡白が本当に見事です。
間違いなく面白かったけど映画的なドラマや凄い画作りとか煽りとか全く無い
小津監督作品は初ですけど、ここまで淡白に映したうえシナリオは起承転結というより起転結ぐらいのあっさりテイストなのに面白い
画面上で誰かが劇的に泣いたわけでも怒ったわけでも無いのに目を見張る人物づくりの上手さがそうさせているのだと思う
変にカメラ目線ではない登場人物が誰かの顔を見ながら喋るカットで画面の中の役者が語りかけてくるような没入感を生み出している。

それでいて、どことなく現実でも見たことのある人物像だから生々しさ、リアルさで淡白なシナリオにフックがついて好奇心を湧き立てる
個人的には長女のサバサバしたカラっとした感じがいかにもなリアルさでした。
父さん母さんに構う暇が無いから熱海に行かせるとか、いつ帰るの?忙しいのに?みたいな一見失礼な発言が多いんですけど悪意は0なのも分かるんですね
母が亡くなった時も静かに泣いてたし、父の酒癖の悪さもそれとなく注意しているので別に心から邪魔なわけではないかと
本当に邪魔なら酒飲んでいようが放っておきますよ

それに劇中の彼女の家は旦那が医者で自身は美容院という共働き家庭だ。
当時のこの職業の収入がいくらで〜とかは流石に言いませんけど、実の父母よりも仕事や家庭になるような忙しい日々を送っているのは想像に難しくない
医者の仕事で旦那がいないときは子供の面倒も見なきゃいけないしね…

メッセージ的なものはあまり重視して見ませんでしたが、純粋に人物描写が気に入りました!

[推薦数:1] 2019/06/09 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:613(59%) 普通:264(25%) 悪い:169(16%)] / プロバイダ: 2534 ホスト:2505 ブラウザ: 8337
【良い点】
・家族の現実を冷静に描いた傑作
・紀子という良心
・風景の美しさ

【悪い点】
・長女 志げの態度がイラっとする

【総合評価】
小津作品の代表作ともいえる傑作で、どれを観るべきか迷ったらコレを選択すれば間違いないだろうと思う。

尾道から東京の子供たちの元へ訪れてきた老夫婦:周吉、とみが、徐々に子供たちに持てあまされ気味になっていく。あまり子供たちに迷惑をかけまいと老夫婦は気遣うのだが、そんな気持ちも知らずに長男と長女の幸一、志げは自分のことしか考えない。

この時代の家族映画と言われたら、どちらかというと家族の絆を感じるものを想像するのだが、これはその逆に近い。唯一、良心的だった紀子がいなかったら、相当ギスギスした雰囲気の映画になっただろうと思う。
ただ、その紀子は、戦死した次男の妻であり、血縁上のつながりが一番薄い人間だというところに皮肉をきかせている。

自分たちが対応できないからって熱海の旅行へ追いやろうとしたり、母親の葬儀直後に形見を催促したりと眉をひそめるようなところがあるが、実際、人への思いやりというのは血の濃さよりも、その人の人間性なんだろうと思う。独立し、年を経た子供なんぞは、そういった人間性のほうが濃く出てくるのだろう。

ロー・ポジションを駆使した、家族が近くに感じる映像、そして東京の街並みも美しい。

どの時代でも活きる非常に普遍的なテーマで、それはこの映画が何度もリメイクされていることからも窺える。

2016/10/01 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:116(59%) 普通:29(15%) 悪い:52(26%)] / プロバイダ: 634 ホスト:590 ブラウザ: 4701
とても面白かったです

当時の雰囲気や空気感にリアリティを感じられて、派手じゃなくても人の描写がしっかりされている
だから、中盤以降の大人なら誰しも経験した事のあるようなシチュエーションでそれぞれの人物に思いを馳せ、感慨に浸れる
周吉はどんな思いを持っているのか、紀子や京子はどうなっていくんだろう、紀子はどんな境遇で育ってきたんだろうか
こういった所に思いを巡らせるのがとても面白い

久しぶりにこういった古典映画を見ましたがやはりいいですね
紀子三部作、と言われる小津監督の他作品なども見てみたくなりました

2016/01/01 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2261(50%) 普通:1134(25%) 悪い:1136(25%)] / プロバイダ: 36209 ホスト:36373 ブラウザ: 5173
個人的な類似体験に即する意見で申し訳ないが切実感が半端ない。
特に親近感を覚えたのは長男夫婦の息子達とヒロイン原節子演じる次男の嫁、並びに大阪住まいの三男。

本作のテーマになっているのは当然、「家族」な訳ですが
前半は「変わらない家族」、後半は「変わっていく家族」であったように思います。
長男の家に老夫婦が遊びに来る事になり自分の部屋が使われるというので、子供がむくれて減らず口を叩く。
でも文句を一通りいったら後はもう納得して、勉強も自分の部屋以外の所でしている。根はいい子だ。
あの年頃の時は自分も何か言ってからでないと親のいう事がなかなか聞けなかったし、
あの年頃の時は本作とは逆展開ながら父の実家にあたる祖父の所に遊びに行くのが楽しかった。

そして後半。東京住まいの長男及び長女は彼らなりに親孝行を考えているがデリカシーに欠けた言動が多々。
(自分も昨年、母の見舞いに帰郷して来た兄の言動に腹を立てた妹の愚痴に小一時間付きあわされまして…)
本作でも故郷で両親と暮らしている末の妹が腹を立てるのに同じ東京住まいのヒロイン紀子が諭すわけですが、
戦後10年近くが経過し大空襲など無かったような東京の街並み、
爆心地から離れていたとはいえ原爆が投下された広島は尾道の戦前から殆ど変わらぬであろう景観の対比、
そして夫が戦死して自分の心の針が止まってしまっている事を自覚している節がある紀子の立ち位置、
戦争から立直り豊かな生活を目指す中で気づかずに失ってしまう物を見据えていた小津監督の先見性が光ります。

先日、某新聞に「交通機関が発達し、メール交換もできる平成時代に本作は必ずしも当てはまらない」的コラムが
掲載されていましたが、どれだけ技術が発展しようと例え家族間であろうと
日々、身近に接していく積み重ねの中でしか伝わらない&理解できない感情の機微はあるでしょう。
評価は「とても良い」よりの「最高」で。

2013/12/12 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:670(88%) 普通:60(8%) 悪い:33(4%)] / プロバイダ: 18570 ホスト:18483 ブラウザ: 10678
最初は何が面白いのかさっぱり分からなかった。ただ最初からカルチャーショックを受けた。根本から今の映画と作り方が違う。ハリウッドとかだと洗練されてないって部分があるけど、どこか今の作り方と通じるものはある。居心地が悪いような感じで最初からずっと戸惑って見てた。

何かしら感じていたのは、微妙に子供たちが今の生活に邪魔になる部分があって、それが本当微妙にすれ違う部分が描写されてそれが気になりだす。でもあまりに微妙なので、気にするほどでもないのかな?とぐらい思うほど。

そこでも思うは二人の老夫婦が全編を通じてほとんど心のうちを語らない事で生じる人と人の心の機微の難しさのようなもの。言わなきゃずっと放置してしまうようなそんな感じに。そんな事思ってたんだとかそういうのは一切無い。視聴者もずっと分からない。特にはっきりと不快感を感じた熱海での旅行も良かった良かったとだけ子供たちに語る。それでもお互いの関係はそのまま流れていくなんとも言えない不可思議な気持ち。二人が本当の意味で話すのは原節子演じる息子の嫁だけ。これで大体二人が不満を抱きつつもそれを出し過ぎないようにしてるのが良く分かる。ちらほらと見える、何事も高望みしない二人の老成した人生観みたいのでそういった事は何気なく通り過ぎていく。

最後の方までどうも感じるという事が無くどんどん進んでいく。

自分にとってこの映画がどう感情を揺さぶったか?と言えばありきたりなのかもしれないけど、死だった。これだけが強く感情を揺さぶって、そのせいで人間の関係性も一緒に強く揺さぶられた。それまで淡々と見てしまった。大事のは、死の後まるで感情の刺激が変わったのと、前に起きた事もそこで繋がってきた。故に私の感じ方は多分歪んでるかもしれない。

老夫婦の妻が東京旅行から帰ってきて、突然のきとく。これによってまた子供たちが集まってその中で母親が死んでいく。ここから強く感情を揺さぶられた。淡々と死を描く。日常の中から突然の死。でも日常の中の死が切り離されてないそういった特別じゃない死が妙に感じるものになってしまった。今まで描いていた事が伏線だったように感じてくる。たっぷりと淡々と日常を描いてきたからこそ、この死に入り込んでしまう。

後は残された老人と息子の嫁原節子の会話で作品は閉じていく。今まで通り過ぎていた場面の老人の心のうちが彼女だけに語られる。そして妻の形見の腕時計を渡して老夫婦と息子の嫁のつながりのようなものを見せて話は終わる。これらの後老人のまた何を考えてるか?簡単には読み取れないたたずまいと、瀬戸内の風景を写してなんとも表現できないけど何かを感じるシーンによって終幕となる。なんと言うか意味があるんだろうと思うけど、何かその意味を言葉にするのが億劫になる。絵と魅せたものを言葉に変換するのが嫌になるから。

私はこの作品を間違っても最高と出来ない。本当に一部だけに強く感じただけだから。自分はこの作品の魅力を多分堪能できてないんだと思う。感じる部分がきちんとあったので、無理に分かろうとしなくて良いと思ってる。

2013/05/29 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2202(58%) 普通:766(20%) 悪い:853(22%)] / プロバイダ: 36042 ホスト:36054 ブラウザ: 5386
現代でも楽しめる古典的日本映画です。
白黒の時代、地味な音楽で長い尺の(アクションなどが一切ない)ドラマっぽい映画…というと、現代ではどんなに面白くても飽きかねないと思えますが、今作は一切飽きることなく見られましたね。

内容はほとんど知らずに見たのですが、「東京物語」というタイトルは少し想像とは違った意味を持ってましたね。
自分が想像した内容は、「ALWAYS 三丁目の夕日」のような人情。
名作と呼ばれるからには、東京での人情モノだと思ってたんですね。
しかし、人情に訴えかける内容ではあるけれど、今作で描かれるのは下町人情とはそういうのではなく、あわただしい東京で冷め行く家族の絆。

のんびりと尾道で暮らしていた老夫婦が、東京に来て息子や娘に会う話で、当初は両親を迎えていた子供たちが、だんだんと両親に手を焼く暇がなくなって冷たくあたる…という、まあ言ってみれば鬱ストーリー。
ただ、決してこれを気に病むことはなく、老夫婦は「そんなもんさ」とばかりに笑っていられるという点で、陰気な雰囲気自体は無い。
この主人公の老夫婦の態度が卑屈さとはかけ離れていて、好感が持ちやすかったのが見やすかったポイントでしょうか。
まあ、逆に言えば、「こんなに優しい両親にあんなに冷たくできるのか」という怒りが沸いたり、前向きでいようとする姿が悲しく見えたりもするわけですが…。

基本的に演技、演出、脚本のどれをとっても素晴らしい。
のんびりした尾道の田舎と、あわただしい都会の東京との対比がやっぱり凄いんですよね。
最初の工場の煙やにぎわう駅、客足が絶えない美容室…どれも忙しい東京を表すのに良かったですね。自分の親にさえ目が行かなくなるほど忙しい世界になっているのがよくわかります。
一方、田舎ののんびりとした姿も凄く見ていて良い気分。
しかし、人は変わっていくわけで、画面にチラッと映っていた子供がどう育つかは結局わからないものなんですね…。

人の成長や稀薄になっていく家族の絆について語りましたが、温かい人と人との絆はよく描かれてます。
次男の未亡人は本当の家族ではない老夫婦に親切にする。これだけが唯一の救いと温かさであり、しかし大きな優しさであったと思います。
この少女・紀子との交流は、終盤にかけて重要な役割を持っていたし、それがかなり胸にくるものでした。

何度も見たいというほどではないにしろ、名作と呼ぶべき映画のひとつ。
大人になっていく怖さとはかなさを描きながら、紀子の温かさが幸福ですね。
彼女自体も、少し変化は起きていることを語っているのですが、それを自覚し、少しでも嫌悪感を持っているのなら、あの老夫婦のようになるのではないでしょうか。

2013/04/06 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:3326(33%) 普通:3512(35%) 悪い:3273(32%)] / プロバイダ: 12259 ホスト:12112 ブラウザ: 5682
拡大家族から核家族への変容、経済・医療等の水準向上等による高齢化社会の
現出も既に見通して、「家族の絆とその喪失」、「人間なら生きている以上誰でも
経験する老いと死」、「人生全般の意義」。本作はこれらを鋭さと暖かさを兼ね備えて
描いた名作だったでしょう。結論から言えば。

公開された昭和28年(1953年)当時、日本人の平均寿命は男で62歳、女で66歳
でしたから、特に男はお祖父ちゃんとして孫が成人するまで生きられた人は
まだ少数派だった時代でした。

この物語の平山周吉・とみ夫婦も当時としては長生きした方でしたが、
それ故に、頼りない中年のおじさんだった長男・幸一と対照的に気の強かった
長女・志げ、特に後者に露骨に邪魔者扱いされていました。(とみが急死した
直後、周吉の方が先に死ねばよかったなんて不謹慎な事を言っていたけど、
あなただっていつかは年をとって死ぬというのに!!)

紹介された熱海の旅館は居心地が良くなかったわ、やはり同じように邪魔者
扱いされていた旧友からは愚痴をこぼされるわ、周吉自身も泥酔してお巡りさん
のお世話になって余計幸一らの顰蹙を買うわと折角の東京旅行は傍から見れば良い
思い出だったとは言い難かったかもしれません。

しかし、今まで重ねた年輪とかもあったのでしょう。救いは彼らはそれでも
満足していて、悲壮感とかは感じられなかった事です。特に周吉の方。
配役の故・笠智衆氏でしたね。どこか達観していた雰囲気も感じられたと言うか、
抑揚の少ない喋り方が真骨頂でした。「棒読みだ」と否定的な人もいるようですが、
「ミスター老け役」だった氏以外には真似できなかった妙味でしたよね。
もうこういう俳優さんは出てこないかもしれません。

この映画を見て、「折角長生きして子孫を残しても、家族から厄介者扱いされる
ようでは、長寿・結婚・性交いずれも意味ないじゃん。」と改めて激しく思ったけど、
故・小津安二郎監督の高い先見性と、鋭い人間観察力がとにかく光りました。
小津氏自身は、60歳の誕生日を迎えた時と同時に、早く天国に旅立たれてしまった
のは皮肉でしたが・・・・・・・・・評価は「とても良い」とさせていただきます。

2012/04/25 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:105(70%) 普通:20(13%) 悪い:25(17%)] / プロバイダ: 13174 ホスト:13405 ブラウザ: 4241
見る年代によってその見え方が変わる作品というものがありますが、その中でもこの作品はその代表的なものだと思います。この作品をはじめて見たのはまだ学生の頃でした。その時は両親につらくあたる息子達にイライラするだけでしたが、自分自身も社会に出てあの子供達と近い年代になってから改めて見た本作はなんだか全く違って見えました。

あの息子達の両親に対してのあんまりとも言える態度は、何も意地悪をしようと思ってのものではないと思います。ただ、日々の生活、自分自身の生活に追われる中で、周りが見えなくなり相手の気持ちにまで気が回らなくなっただけなのでしょう。邪険に扱っていたとは思っていなかったように思います。本人としてはあれでも両親をもてなしているつもりであり、尾道に帰った後の兄とのあの満足しただろうという会話も、母が死んだ際に流した涙も、きっと紛れも無い本心だったのだと思います。

そしてここで重要なのは、紀子さんの義理の両親に対する振る舞いも、彼らのためと言うより自分自身の贖罪であったり、寂しさを紛らわせているだけであり、どちらかと言うと自分自身のためだったという点です。一見正反対に見えるあの老夫婦への接し方ではありますが、その本質は両者とも全く同じだったのです。たまたま紀子さんの振る舞いが上京してきた夫婦の心に響いた。ただそれだけのことだったように思います。だからこそ紀子さんは自分の事をずるいと言ったのでしょう。

相手の立場に立つことを忘れ、自分本位に行動を起こすと、自分自身ではなんとも思っていない振る舞いが相手の気持ちを揺り動かし、結果的に他者を傷つけ埋まらない溝を生んでしまうことになり得る。小津監督はこの事実をただ見てもらいたい、そしてそのことを考えてもらいたい。そう考えたのではないでしょうか。だからこそ、あえてあの兄妹を断罪せず、ありのままを淡々と描くことに終始していたのだと思います。
思えば、この作品が作られたのは53年という戦後復興の真っ只中です。日々変わり行く時代の中で皆が自分の事で精一杯になり、ついつい自分本位になっていたのかもしれません。また、現役を退いたあの老夫婦のような存在は、何も産み出さないものとして社会からは厄介者のように見られていたのかもしれません。この作品に描かれていたのはそんなあの時代の代表的な病理だったのでしょう。しかし、その病理は現代においてもその大小の差はあれど、いまだ色濃く残っているものだと思います。だからこそこの作品は、時がたっても全く色あせず、時代を超えた不朽の名作と呼ばれているのではないでしょうか。

この作品を見ていると、人との繋がり、家族の絆、血の繋がりなんていうものは所詮幻想でしかなく、住む場所が離れればそれと一緒に離れて行ってしまうような儚いものなのか。そんなことを考えてしまいます。相手の立場に立つということは、口で言うほど簡単なことではないということも、自分自身が社会に出て身をもって知りました。でも私はそれでは嫌だということも強く感じます。私はラストシーンでの周吉のあの丸まった寂しげな背中が目に焼きついて離れません。自分を育ててくれた両親にあんな背中をさせたくないと強く思いました。孝行したい時に親はいないというのは本当に重い言葉です。

迷惑をかけられてもいいじゃないか。自分はそれよりずっと多くの迷惑を親に周囲にかけてきたのだから。

評価は「最高」。
最近余裕が無いなと感じたときに、又じっくり噛み締めたいと思う「名画」と呼ぶに相応しい作品だと思います。

[推薦数:1] 2012/03/22 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:7580(87%) 普通:643(7%) 悪い:463(5%)] / プロバイダ: 34156 ホスト:34042 ブラウザ: 2413(携帯)
2時間16分という長さを感じさせない作品でした。 生活感溢れる映像、登場人物のひとつひとつのセリフの重さ(個人的にはとみが孫に「それまで私は生きているかねえ」というセリフが一番印象的で切なさとさびしさが感じられる)、ラストまでの過程がしっかりとしている。周吉ととみ夫妻もそして一見冷やかさが感じられる長男夫妻も皆、貶すことなく、描いていてそこに作り手の温かさが感じられる。特にいつの時代も親離れ子離れはあるんだなあと感じさせられる。
でも、周吉ととみ夫妻はそんな無常感を感じつつも、その現実を受け入れているその様子もどこか物哀しい。それが尾道ののどかさと東京の慌ただしさを対比させている。
紀子の献身さも決して誇張するような描き方をしていません。そしてもちろん、子どもたちの冷やかさもやはり誇張なんてしていません。やっぱり汗水たらして忙しく働いている風景をおろそかにせずにリアルに映している、それが大人の事情というか仕方ないんだよ。誰も悪くないし、誰も正しいわけではないという否定も肯定もせず、淡々と日本の家族の在り方を描ききった作品でした。

評価は文句なしに「最高」とさせていただきます。

2011/10/10 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:882(66%) 普通:353(27%) 悪い:93(7%)] / プロバイダ: 31188 ホスト:30920 ブラウザ: 7291
・うらら美容院

最も評価の高い小津作品。テーマや脚本、演出等小津作品の集大成と言える内容になっています。
原節子が法子という他作品に共通する名前のキャラクターを演じていることから"紀子三部作"の一つと言われることも。

尾道から息子たちが住む東京へ老夫婦が上京するところから物語は始まります。
子供たちは表面上二人を歓待するけれど、内心では厄介者扱いしている。

『父ありき(1942年)』では一緒に暮らすことを夢見てかなわなかった親子を描いたのとは対照的に
親子の結びつきが希薄。

帰京したすぐに母親は死んでしまい、子供たちは子供らしく悲しみはしますが
すぐに日常へともどっていってしまう。

親子関係を美化せず、そのまま描いて見せるのが今作の魅力。

傑作であることは論をまたないだろうけど、
個人的にあの独特な台詞回しが好きなので『晩秋』とか『秋刀魚の味』のほうがよかったかな。
『お早う』とか『麦秋』で見られるようなユーモアのあるシーンもないし。

この作品が気に入った方はルイ・マル監督の『五月のミル』なんかがお薦め。
それから今作に影響を与えたと言われるマッケリーの『明日は来らず』なんかも見てみるといいかもしれません。

2010/09/15 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:293(72%) 普通:54(13%) 悪い:59(15%)] / プロバイダ: 13082 ホスト:12880 ブラウザ: 10086
熱海の時の老夫婦の後ろ姿のアングルが哀愁を誘って何とも言えないです。

実の子供に邪険に扱われる老夫婦‥‥。実は私も‥‥いえ、何でもないです。

変に「生きてるうちに親を大事にして孝行しなさい。」とか説教臭くないのがいいですね。

ただ、どこにでもある家族を描いている。

2010/06/05 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴 / プロバイダ: 21462 ホスト:21179 ブラウザ: 10974
【総合評価】
黒澤明や溝口健二、成瀬巳喜男と並んで「日本映画の四大巨匠」と評される小津安二郎監督の代表作品。小津監督は本当に「粋」な人だなあと思う。具体から抽象へというまさに日本人的な発想で家族というもの、人生というものを表現している。「反復とズレ」が小津映画の特徴で、一見似たような毎日、繰り返し日常を送りつつも実際は少しずつズレが生じていく。
全てのものは移ろいで行く。家族は一緒のようであっても最終的にはそれぞれがバラバラになり、次の世代へと引き継ぎながら消えていく。そして皆一人ぼっちになる。人間とは最終的に孤独なのであるという普遍的なテーマを、変にメロドラマにすることもシリアスにすることもなく、普通の穏やかなトーンで描いていくのが凄いのだ。正直この映画は「ホームドラマ」という言葉では括れない、それよりももっと味わい深いものがあるのだ。
この作品の映像も最初見たときは映画だと思えなかった。真正面からの切り替えしショットや奥行きの感じられる空間など、文法を崩した小津スタイルは本当に衝撃だった。しかも話のテンポも遅いようで早い。一定のトーンでテンポよく進んでいくからあっという間に映画が終わってしまう。この映像を目にしたとき、誰もがその凄さに押し黙ってしまうのではないかと思う。評価は「最高」で。

[推薦数:1] 2008/02/26 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:326(30%) 普通:448(42%) 悪い:303(28%)] / プロバイダ: 7683 ホスト:7691 ブラウザ: 4184
紀子三部作の第三作。小津映画の集大成、そして"日本映画の最高傑作"とも評されるほどの作品で、国際的にも有名になっている。
相変わらずのローアングルが効いていて、静かな雰囲気が写真のようだった。モノクロということもあり、ひとつひとつの陰影が際立っていて、街に放置されたビンだけでも網膜に飛び込んできた。そして映像の中で日常の孤独が色濃く立ち現れてくる。家族としての絆、老いを通して、生きるということを寡黙に、かつ鮮烈に描いているのだ。
これは家族愛という幻想を親不孝でつらつらと描いているのではなく、希薄していく人間関係という社会そのものの憂いを断片として捕まえている。平山周吉(笠智衆)は温かみのない子供たちに対して不満をこぼすことはほとんどなく、逆に諦めのような表情やたたずまいで表現している。71歳の役を48歳でこなしているところが、また凄い。そして平山紀子(原節子)からも、親不孝な人たちと同じように「私だってそうなる」といったような台詞が存在する。これは小津監督の声であるし、老いていく人生の中で必然といっていいほどの孤独を観察者としてただ見つめている姿がある。ラストに周吉が誰もいない家で一人で座っているシーンがあるのだが、強烈に生きているということを感じさせてくれた。諦念でも寂寥でもない、喪失して何も残されていない老人のただ生きているという力。それは暗く否定的な存在ではなく、全てのものへの生命の肯定につながる力をもっていると映像だと思う。

2007/04/21 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:872(67%) 普通:182(14%) 悪い:255(19%)] / プロバイダ: 12010 ホスト:12222 ブラウザ: 7590
現在、巷では『東京タワー』が社会現象並みに大ヒットしている。
あれは"親孝行"をテーマのひとつにした作品だが、
本作はその逆で、
主人公である老夫婦が、実の子供たちに邪険にされ、血の繋がらない次男の未亡人に介抱されるという皮肉を描いており、
また普遍性のある家庭崩壊の寓意に秘められた、世間に対する風刺、
そして「真の家族の絆とは何か?」を描いた傑作である。

<ネタバレあります>(『ミリオンダラー・ベイビー』のネタバレ含む)

役者の演技が素晴らしい。
周吉役の笠智衆氏と、とみ役の東山千栄子氏の、飾り気の無い自然な演技が本当に見事であり、
紀子役の原節子の、分け隔てない包容力が溢れている清らかな演技が観ていて心地良い。

小津安二郎。
失礼だが、今時の方でこの方を知っている方はほとんどいないかもしれない。実際、私もそうだった。
だが小津氏は、黒澤明氏と並ぶ、いやある意味ではそれを上回るとさえ言われている、日本映画監督の巨匠の一人である。特に海外での評価が高いらしい。

そんな小津氏の代表作と言われている本作を、興味本位で視聴してみた。

『これは・・・傑作だ・・・』

が、第一声だった。

まず、世界観が良い。
この作品全体から匂って来る、"寂しい匂い"。
繁栄する東京、工場の排気ガス、絶え間ない人海、頼みの子供からは冷たくあしらわれる、時代の急速な発展・・・・・・老い先短い老夫婦にとって、この現実はあまりにも厳しすぎた・・・
実際、寂しさに匂いなどは無いのだが、どうもそんな雰囲気がこの映画から伝わってくる。だからいつまでもその匂いを吸っていると、こっちまで胸が苦しくなってしまう。

何といっても、実の両親を邪魔者扱いにする子供たち。
(これは『ミリオンダラー・ベイビー』を観た時の感じに近いものがあるかもしれない。)
実の親、実の親にである。それをどうしてあんなに冷たくできるのか・・・
「あんたら何考えてんの?実の親だろうが・・・」と何度も観ている内にぼやいた。
そしてこんなことを自然に、平気にやってしまう子供たちが怖くて怖くてたまらなかった。

そして終盤、ある人物が逝去してしまう。
よくある展開では、子供たちが改心をして、自分たちの親孝行の至らなさを嘆くというものだが、
本作はまったくそういう展開は無し、一切の心変わりもなし。

挙句の果てには、
『お母さんの形見あるでしょ、あれ頂戴よ』
『どうせなら●●の方から逝ってくれたらよかったのに』
とほざく始末。

「ふざけるな!!!」、と心の中で何度も叫んだ。怒りの気持ちでいっぱいだった。同時に、胸が締め付けられて締め付けれて、苦しくて仕様が無かった。

しかし終盤の、紀子と京子の会話のシーンが、ある一つの答えを示していた。
『みんな、そうなってしまうのよ』と、紀子。
あの天使のような心もった紀子がそんなことを言った。
「子供が親を邪魔に思う」
果てしてこれは普遍的なことなのだろうか、いつか私も、幸一や志げのようになってしまうのだろうか・・・
「絶対にならない!なってたまるものか!」と何度も思った。
しかし、いくらそう誓いを立てても、年輪を重ねれば価値観も変わる、すると"親"に対する見方も変わってしまうのではないか・・・
そう思うと、身体が震えてきた。
そして、
『いやぁねぇ・・・世の中って・・・』、と京子。
いったい、総ての最大の要因はどこにあるのだろうか?何なのだろうか?
世の中なのか?人の心なのか?
それは誰にもわからない。
人の心は、かくも弱いものだから。

ラストの周吉と紀子の会話は、まさに名場面。日本映画史に残してほしい。
血が繋がっていないから、親子とは呼べないのか?
所詮、どれだけ絆を深めても、他人は他人でしかないのか?
「親子」とは何なのだろうか・・・?
泣き崩れる紀子に、
『やっぱりあんたは正直な人じゃ。エエ人じゃよ。』と、周吉。
このあまりにも純粋な言葉が、胸を殴打する。強く、何度も、何度も・・・

2005/10/14 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:13(42%) 普通:7(23%) 悪い:11(35%)] / プロバイダ: 26073 ホスト:25974 ブラウザ: 3875
日本の伝統的な家長制度の崩壊と急激な都市化によって拡大する核家族の波をすでに昭和28年という時期に
先見的に捉えていた劇映画の秀作。
笠智衆と原節子が見送るラストの尾道のシーンは全編の中でも特にしみじみとした美しさを感じさせる。

もっと読む

「小津監督の代表作。笠と東山が演じる平山夫婦は十分な味を出しています。小津作品は、家族をテーマに、一見...」 by のんた


次のページを読む

この評価板に投稿する



2019/06/09 好印象 by (表示スキップ) 投票履歴 / プロバイダ: 2534 ホスト:2505 ブラウザ: 8337 [編集・削除/これだけ表示]
感じた事悲しい/考えさせられた/道徳心&モラル 
ストーリーとても良い(+2 pnt)
キャラ・設定良い(+1 pnt)
映像とても良い(+2 pnt)
声優・俳優とても良い(+2 pnt)
音楽良い(+1 pnt)

もっと見る
1. 東京物語」感想 by ks-eleven
... 二郎監督の「東京物語」を視聴。以下はその感想。 約2時間の間で描かれるのは、ある老夫婦が東京にいる子供達を訪ねるという物。 特に大きな事件が起こる訳ではなく、とにかく淡々と二人の東京での出来事を見せていく。 見る人によっては退屈するかも知れないが、それこそがこの映画の醍醐味なのだ。 忙しいという理由で陰では子供達に ...
記事日時:2016/01/24
2. 東京物語 by 雪霞
=window_width){this.width=window_width*0.96;}}else if(window_width && this.width>window_width*0.75){this.width=window_width*0.75;}"> 小津安二郎 生誕110周年。
記事日時:2013/12/12
3. ストレンジャー by スー
... 、フェイス・ミュージック、インサイド・ドープ、オフ・ザ・ウォール、キャット・ファイト、晩春、出来ごころ、東京物語・・・東京物語にしよう」 「新しいところに来たのに何もかも同じに見える」 ・デッドパン ・テレビディナー 前作『パーマネント・ヴァケーション』に続き抑制が利いていて独特な雰囲気が魅力。 サックスによる劇伴が印象的。 雰囲気の作り方のうまさは荻上直子に通じるもの ...
記事日時:2012/08/30 [表示省略記事有(読む)]
[もっと見る]

作品の評価またはコメントの投稿欄

注意: これは日本映画版。その他メディアのページ: 漫画:東京物語
お名前 <=サイト内では一つのHNで。複数のHN使用は投稿全削除&アク禁対象です。実名ではないHNをお勧めしてます
この作品に対する評価文またはコメント文(丁寧な文面を心掛けて下さい)
※↑のボタンは評価のテンプレート[=形式例]を消すのに使って下さい
[コメント(?)]
良いと思う 普通と思う 悪いと思う
または
[評価(?)] 最高! とても良い 良い 普通 悪い とても悪い 最悪
↑(全作品にて)8回以上評価しても「悪い」系統の評価しかない場合非適切にバランスを欠いた評価とみなして削除されます。
ルール違反の書き込みでなければ=>
↑上へ