[日本映画]太陽を盗んだ男: 2018/08/25 bit


G(全年齢対象)

たいようをぬすんだおとこ / Taiyou wo nusundaotoko
  • 怖い
  • びっくり
  • 面白い
  • 悲しい
  • 考えさせられた
  • 可笑しく笑える
  • 道徳心&モラル
  • 楽しい
  • 格好良い
  • 感動
RSS
日本映画総合点=平均点x評価数58位2,796作品中総合点29 / 偏差値74.67
日本映画平均点10位365作品中平均点2.23=とても良い/13評価
1979年日本映画総合点1位23作品中
  投稿の系統で絞込
この評価板内限定
2018/08/25 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:95(73%) 普通:23(18%) 悪い:13(10%)] / プロバイダ: 24774 ホスト:24732 ブラウザ: 5507
レンタルDVDで鑑賞。
僕オッサンですけれど実はコレまで一度もこの映画を観た事無かったんですよ。

ストーリーは…中学校の理科の教師がアパートの自室で原爆を製作、日本政府相手に無理難題の要求を突きつける。大規模な撮影に派手なカーチェイス、敏腕刑事とのスリルある対決とケレン味溢れるピカレスクロマン+クライムサスペンスに仕上がっている。

映画評としては「怪作」と呼ぶのが相応しいように思う。名作ではなく怪作。または怪作の傑作。

計算された面白さの他に計算外の面白さ、計算度外視のエネルギッシュな破綻が渾然一体となっている印象だ。
想定するに本来の作品の格子は「モラトリアム男VSモーレツ男」であろうと思う。全共闘に学生闘争といった若者が社会に楯突く事がファッションだった時代が終わり、若者が「しらけ世代」と呼ばれた時代の映画で、そのしらけ世代の象徴としての主人公と、頑として揺るがないオールドタイプの敏腕刑事の対決といった図式だ。

しかし計算外だったのか予想以上だったのかモラトリアム主人公を演じる筈の沢田研二が魅力的で演技も上手い事がこの映画の解釈をややこしいものにしている。特に頭脳犯として立ち振る舞う時の格好良さはなかなかのものだ。
しかし本来「いるいる、こういった奴って」という共感を得るような主人公になる筈で、そういった普通の男が原爆を作って日本を敵に回しつつ途方にくれる二面性が軸となる筈だったのに、沢田研二演じる繊細かつ大胆なキャラクターは共感の対象ではなく崇拝の対象に近付いてしまった。故にエキセントリックな魅力が目立っている。

菅原文太演じる敏腕刑事も強面かと思いきや結構ノリノリで演技しているようで、おどけた会話を楽しんだりするお茶目でキュートな場面もある。どうやらこの映画はアドリブ演技が結構多いようで、沢田研二と菅原文太の魅力と演技力の高さが随所で発揮されている。

しかし役者やスタッフのの活気や熱意がこの映画を奇っ怪な出来にしている面もある。
例えば原爆を作るシーンでは入念な製造工程を描いていて、カーチェイスやアクションシーンなど本格的なクライムサスペンスの様相だが、その入念な描写や派手な演出とは裏腹に、コミカルなプルトニウム強奪シーンや少々適当な原爆奪回シーンなどが織りこまれている。多分上映時間の都合で前後をカットしたのだろうがプールにプルトニウムの破片を捨てるシーンなどは何がしたかったのか意味不明になっている。ラストの主人公と刑事のバトルも破天荒だ。
そういった感じで緻密に作り込まれた展開と雑な展開がゴチャマゼになっているので、映画としての一貫性が見失いやすくなっている。主人公の持つ無常感とエネルギッシュな行動力は別々に描かれ乖離したままだ。過激なテーマの面白さと小市民的なドラマも乖離したまま一致しない。

とはいえ想像で補えないレベルではなく、むしろヒントは劇中にきちんと描かれている。主人公"9番"はなぜ要求を思いつかなかったのか? なぜ敏腕刑事の山下警部との対決を望んだのか? このあたりは時代性の違いもあるので解釈が難しいところだが、熱量の高いエキセントリックさに惑わされなければラストの意味も見えてくる。

結論として40年近く昔の映画ながら非常にスリリングな娯楽超大作映画で非常に面白かった。一方で40年の時代の流れと共にタブーとされる事が山のように増えたので易々と人にオススメも出来ない危険な映画でもある。

…ところで若い人がこの映画を観れば、冒頭での国鉄(現JR)駅内で主人公が煙草を吸うシーンにビックリするだろう。まるで外国か異世界ファンタジーのように見えるが昭和の日本では駅の中でも電車の中でも煙草が吸えた時代だったのだ。後半での労働組合のデモ行進も昭和の時代には珍しくない風物詩だった。バスジャックに限らず身代金誘拐や強盗事件などもさほど珍しくなかった時代で、自動車の形も現在とはかなり違う。1970年代後半の全共闘時代から高度経済成長期に移り変わる昭和日本の光景も見所と言えよう。



共感コメントは階位を持っている論客の方のみが投稿可能ですが、貴方は階位を持っていないか、ログイン状態ではありません。階位は評価を投稿等すると、1日1回の深夜の定期処理により付与されます。
この評価板に投稿する

この作品の全ての書込みを表示する
↑上へ