[日本映画]ローレライ: 2007/03/01 雪霞


LORELEI THE WITCH OF THE PACIFIC OCEAN
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日本の商業映画というのは――特にテレビ局がかかわっている作品では――、シビアな状況をきちんとシビアには
描かず、人情や善意で口当たりをよくし、ウェットに描き、展開も甘いのだな、ということを再確認させてくれた作品。

終戦直前、東京への原爆投下を阻止するために、極秘の新型索敵システム 「ローレライ」 を装備した潜水艦が
南方を目指すという緊迫したドラマのはずなのだが、艦内の雰囲気は現代モノのテレビドラマ、それもサラリーマンドラマ
のように感じられる。
特攻させてくれと艦長に詰め寄る折笠(妻夫木聡) には切羽詰ったギラギラしたものがない。
秘密兵器ローレライが実は若い女性だとわかっても、艦長以下乗組員が驚愕して対応に悩むことはなく、みなさん
あっさりとその状況に馴染んでいる。
ずーっと女っ気なしで死線を越えてきた野郎どもが何十人もいる潜水艦内で、誰も若くて美人の彼女によこしまな
心を抱いたりしない。ニコニコと一緒にゴハンを食べようとするなど、どこか、大学のサークルみたいだ。
実際に行動に出なくても、何か思うところはあるんじゃないか?
帝国海軍軍人が紳士として描かれるのは良いことであるし、観客へのお手本にはなるのだが、誰かひとりでも、
本能的欲求を抱きながらも己の立場を考えて自分を律する、みたいな場面があれば、男の切なさが出るのに。

そんな中でただ一人、ニコリともしない冷徹な謎の人物・高須 (石黒賢) だけは緊張感があってなかなか良かった。
だが、反乱を起こして発令所を乗っ取った後は、よくわからない理屈を述べるので首をかしげた。
「ローレライ ・ システムをアメリカに引き渡す代わりに東京に原爆を落としてもらう」 。
秘密兵器を渡す代わりに原爆投下をやめてもらうならまだわかるのだが、なぜ、わざわざお願いしておみやげまで
差し出して首都に原爆を落としてもらいたいのかが理解できなかった。
そんな高須も、ずいぶんあっさりとやられてしまう。ここで高須を撃った田口掌砲長の心変わりは安直で、そこもマイナス。
首謀者である浅倉 (堤真一) は東京の軍令部で自決してしまうし。
その前に、浅倉に 「腹を切れ」 と迫られた海軍の上層部の人々が、なぜ目の前のお皿の上の短刀を振りかざして
一斉に浅倉に襲い掛かって倒そうとしないのかも不思議でならなかった。
軍令部の部屋の中で歩き回りながら喋る浅倉の声が、どうして南洋の潜水艦内にばっちり高感度で伝わるのか、
などという点も気になる。

そして、アメリカ軍も間が抜けている。
潜水艦がテニアンに迫っているのがわかっている以上、普通はB-29 の発進時刻を早めるくらいの知恵は働くのでは。
ラストシーンで伊507を砲撃で沈めようとするのも謎。すでに伊507は魚雷を撃ち尽くして攻撃能力はほとんどない
のだから、拿捕できるのではないか。もっとも、浅い海域だから、沈めた後でサルベージしようということかもしれない。
折笠とパウラの乗った潜水艇は、あのまま日本まで帰る性能などなく、じきに酸素が切れて海上に出ざるを得ない。
となればおそらくはアメリカの捕虜になるはず。そうすればアメリカはローレライ ・ システムを手に入れることができる。
それを防ぐためには、伊507は少なくともローレライ関連装置だけは徹底的に破壊しなければならないはずだが。

……などということを考えて見てしまう私には、あまり向かない映画であった。

たぶんこの映画は、パラレルワールドを舞台にした アニメ ・ テイストのエンターテインメント作品と思って
見ないといけないのだろう。
[共感]
2020/06/29 アニメだったら、もう少し割り切った楽しみ方もできたでしょうね。 by 十傑集



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