[日本映画]悪魔の手毬唄(昭和52年版)


あくまのてまりうた しょうわ52ねんばん / Akuma no Temariuta
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注意: これは日本映画版。その他メディアのページ: 文学:悪魔の手毬唄 / ドラマ:悪魔の手毬唄(1977年TBS放送)
日本映画総合点=平均点x評価数95位3,049作品中総合点22 / 偏差値68.43
日本映画平均点12位381作品中平均点2.20=とても良い/10評価
1977年日本映画総合点3位22作品中
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声優・俳優2.67(最高)3
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映像2.33(とても良い)3
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配給:東宝
監督:市川崑
製作:田中収 市川崑
企画:角川春樹事務所
日本 公開開始日:1977/04/02(土)
オープニング動画 (1個)
哀しみのバラード
作曲:村井邦彦 編曲:田辺信一 [ファン登録]
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最終変更日:2011/08/29 / 最終変更者:十傑集 / その他更新者: 雪霞 / TCC / 提案者:ラマンチャ (更新履歴)
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2018/07/27 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:7601(87%) 普通:644(7%) 悪い:464(5%)] / プロバイダ: 10871 ホスト:11028 ブラウザ: 10317
1961年版も存在していたようでしたが、金田一耕助シリーズのひとつでしたね。

冒頭でのどかな村を舞台に若者連中がわいわいやっていた中をその中の若者曰くブレーキの効かない自転車に乗っている金田一耕助が転倒するオープニングから物語が始まりましたが、原作が長編小説ということもあってか長く感じられたかな。

20年前に起こった迷宮入りの事件解決のために、礒川警部は金田一を村に呼ぶわけですが、そこで20年ぶりに事件が起こるというのはタイミングが良かったわけだけれども、全編通して見て思ったのは金田一はそこまで目立って活躍するというわけではなく、事件の事後の顛末について説明するという役回りだった印象でしたね。
それよりも際立っていたなぁと感じられたのは猟奇的な殺人事件もさることながら、キャストではリカ役の岸恵子でしょうか。彼女の演技、存在感が映画を際立たせていたように感じられたし、終盤での沼に入っていくシーンは悲哀と同時にある種のゾクゾクとした感じがありましたね。

また、ラストで礒川警部が金田一を汽車で見送るシーンのやりとりなんかもそのときの駅名とも相まって実に心憎い演出だなと思わされました。

評価になりますが、とても良いよりの「最高」とさせていただきます。

2017/07/07 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2869(60%) 普通:804(17%) 悪い:1130(24%)] / プロバイダ: 5395 ホスト:5542 ブラウザ: 5171
見立て殺人・・・
これは、作中で手毬唄を聴いた時、脳裏を過った言葉です。

話は、歌名雄と泰子が仲間達に冷やかされている傍で金田一が自転車で転倒する所から始まり、
磯川警部から20年ほど前の事件の捜査を引き受けた事で金田一は悲劇に関わってしまう。

実際に目を通すと、放庵と言う老人が金田一に頼んだ5人目の妻に書く手紙の代筆の様に犯人が早い段階からボロをチビチビと出している
にも関わらず起こる連続殺人と言う具合に視聴中、常にもどかしさが付き纏う。

そのもどかしさは、泰子殺しの現場で発見された放庵の手紙、泰子と文子の父親が誰か、20年前に殺された源次郎、詐欺師の恩田、
恩田の足の中指、鏡に映った蜜柑等、パズルのピースが次々と揃い、明らかになる謎、歌名雄に突き付けられた事実と悲劇と言う具合に
クライマックスに入ると一気に吹き飛び、金田一を見送る磯川警部の姿が観る者の心に余韻を残す。

こんな具合に作品そのものの芸術性が極めて高い為、「最高」以外の評価を付ける事が出来ません。

2014/10/09 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:748(51%) 普通:408(28%) 悪い:309(21%)] / プロバイダ: 26629 ホスト:26521 ブラウザ: 9931
前作『犬神家の一族』の大ヒットを受けてシリーズ化が決定し、昭和54年の『病院坂の首縊りの家』まで概ね1年につき1作のペースで制作され続ける事に成った市川崑×石坂浩二の黄金タッグに因る「金田一耕助シリーズ」第2弾ですが、5作全てが2時間越えの「大作」扱いを受けている辺りに東宝のリキの入れ具合が窺えますね。

四方を山に囲まれた寒村に漂う閉鎖的な空気感、名家同士の勢力争いに象徴される歪な人間関係、猟奇的でありながらも或る種の「美」さえ感じさせる犠牲者の遺体、色と欲に溺れた1人の人間のエゴに因って運命を狂わせられた人々が背負うカルマ…と、本作でも横溝作品お馴染みのシチュエーションが満載で良い意味での「マンネリズム」にニヤリとさせられますが、個人的には物語の季節を原作の「夏」から「冬」へと改変してある点が興味深かったです。
単純に撮影時期を考慮しての変更なんでしょうが、全編に亘ってグレーを基調にした色彩設計に統一したお陰で、『犬神家』では希薄だった「物悲しさ」が作品を支配している点には唸らされました。「鉛色の空の下、峠道をテクテク歩く金田一」という別段なんて事の無いシーンにすら、そこはかとなく陰鬱さが漂っているのが圧巻で、それが「真犯人と歌名雄の邂逅」という沈痛極まりないクライマックスへ結実するに至っては、ただただ絶句するのみでした。あの「人喰い沼」の鬱蒼としたビジュアルは、歌名雄の慟哭込みで一度観たら忘れ難いですね。

キャラ描写では、「真の主役」と断言しても良い程にクローズアップされた磯川警部の魅力が突出して光りました。想いを寄せるリカの所作ひとつに一喜一憂する様なんざ、「男やもめ」故の悲哀と純朴さが漂っていて自然と警部の「老いらくの恋」を応援したくなる程です。だからこそ、総社(そうじゃ)駅のプラットホームで金田一と交わす遣り取りが切ない訳で…本作のビターなエンディングは、開放感溢れる爽やかなラストを迎えた『犬神家』と見事に対を成してますね。
一見器量良しに思えて、磯川の夕食を作り忘れたりアイロンを放ったからしにしたりと「ドジっ子属性」を垣間見せるヒロイン・リカも、中年男性の心を鷲掴みにする「無自覚の小悪魔」的なキャラでしたね。「そら警部が惚れるのも無理無いわ」と中盤辺りまでは微笑ましい存在に思えたんですが…横溝作品のヒロインを担わされた時点で、真っ当な結末に辿り着く訳が無いのが悲しいですわ。
アグレッシブに行動して「主役」としての存在感をアピールする反面、何時にも増して「無力さ」が強調されている金田一、そんな彼にライバル心を抱く立花警部補のコミカルさ、第三者視点で捜査の成り行きを見守る権堂医師の曲者振り、重要キーワードたる手毬唄を口ずさむ仕草が可愛い由良家の御隠居…と、アダルト勢に魅力的なキャラが多い一方で、(身体的特徴の有る里子を除けば)男女問わず若者層の印象が極めて薄いのも本作の特徴でしょうね。なんせ、被害者のねーちゃんですら「こんな娘いたっけ ? 」と首を傾げる程でしたから。

第1の事件である「庄屋蒸発」が発生するまで40分程の尺を要し、更には其れが「死体」という明確なビジュアルを伴わないものだった事も影響して、話が転がり始めるのが異様に遅く感じられるのも今回のネックだったでしょうね。あたしゃ例に因って、ライティングだのカット割りだの市川監督ならではの演出テクを満喫していたので差ほど退屈には感じませんでしたが、人に因っては「冗長」と受け取られても止むを得ないところでしょう。
評価は「とても良い」ですが、結果的に若山富三郎氏演じる磯川警部の出番が本作のみに終わったのは、返す返すも口惜しいですね。

2014/07/30 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:1154(76%) 普通:254(17%) 悪い:110(7%)] / プロバイダ: 47133 ホスト:47215 ブラウザ: 10714
77年に上映された横溝正史原作のミステリー映画。古い因襲に縛られ、文明社会から隔離された岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた“鬼首村"。`青池歌名雄'は、葡萄酒工場に勤める青年。歌名雄には、`由良泰子'という恋人がおり、`仁礼文子'もまた歌名雄が好きであった。この由良家と仁礼家は、昔から村を二分する二大勢力であった。しかし、二十年前に、恩田という詐欺師にだまされ、それ以来由良家の、勢いはとまってしまい、逆に仁礼家が前にもまして強くなった。その時、亀の湯の源治郎こと歌名雄の父親が判別のつかない死体でみつかった。この事件を今も自分の執念で追いかけているのが磯川警部。磯川は金田一耕助に調査を依頼する。金田一は、最初に恩田と特にかかわりがあった多々良放庵に会う。その頃、村では大騒ぎ。というのも、別所千恵が、今では人気歌手・大空ゆかりとなり、今日はその千恵の里帰りの日であった。その晩、千恵の歓迎会の時に、第一の殺人事件が起きた。泰子が何者かによって殺されたのだった。そして、泰子の通夜の晩、葡萄工場の発酵タンクの中に吊り下げられて死んでいる文子を発見。この二つの殺人事件には、この地方につたわる、手毬唄の通りに行なわれていることを金田一は発見する。

横溝正史ミステリーブームに則り、角川映画が市川崑監督の元で製作された前作『犬神家の一族』に続いて製作されたのが本作品で、金田一役に石坂浩二さんを沿えて豪華キャストたちによって演出された壮大な本格ミステリー映画である。山間の閉鎖的な村で起る伝説、伝承に基づく事件は「獄門島」などに共通するものだ。さらに「獄門島」では俳句を使った見立て殺人、本作品では手毬唄を使った見立て殺人、「獄門島」では本家と分家の対立軸の中で事件が起るが、本作品では由良家と仁礼家という新旧の実力者の対立軸にあいだに事件が起る。本格ロマンにどっぷりと浸った作品であるといえるし、著者の代表作のひとつとするのも頷ける作品である

ストーリーは古の因習が残る離れ里“鬼首村"で、`青池歌名雄'に関わる女子が次々と手毬歌通りになぞられて殺されていく展開となり、異様ともいえる内容が本作品の醍醐味である。次々に起こる異様な展開をいを、市川監督の壮大なスケールによって大きく演出されているのがとても見応えありましたね。手毬歌通りに見立てられた死体も臨場感があり、見応えありました。、複雑に絡んだ人間模様が事件を作り上げて行ったという展開が本作の見所ですね。

主演の“金田一耕助"役の石坂浩二・`青池リカ'役の岸恵子・`青池歌名雄'役の北公次・`青池里子'役の永島暎子・`別所千恵'役の仁科明子・`由良敏郎'役の頭師孝雄・`仁礼嘉平'役の辰巳柳太郎・`仁礼文子'役の永野裕紀子・`多々良放庵'役の中村伸郎・`権堂医師'役の大滝秀治・`辰蔵'役の・常田富士男の・`磯川警部'役の若山富三郎、他にも加藤武・小林昭二等、前作同様豪華俳優人によるキャストで飾られ、市川監督による壮大なスケールで製作されているため、前作にも勝るとも劣らない作品となっています。

本作品はなかなか豪華な俳優人によってスケールが高いミステリックドラマとして仕上がっていますし、その凄まじい内容は正に映画というに相応しいものになっていて、今でも色褪せないものでありますので、評価は【最高!】です。事件の全貌が見えたときは、この悲劇が心を突き刺します。悲しい結末でした。ラストは爽やかさと哀愁が溶け込み、なんともいえない情感が流れます。駅の別れというのも、良い演出でした。

2013/04/28 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2202(58%) 普通:766(20%) 悪い:853(22%)] / プロバイダ: 36042 ホスト:36054 ブラウザ: 5386
読むとややネタバレしちゃうかもしれません。
犯人の名前には触れないけど、これを読むことによって、「ああ、あの人が犯人なのかなあ」ってある程度察しちゃうこともあるかもしれませんので、とりあえず読まないように。

「犬神家の一族」の翌日に見たので、やや劣る感じはしました。
前作では清涼剤となる若くて明るい女中さんや、始まりの妙な疾走感がありましたが、こっちはダラダラと始まって、ダラダラと続き、最後で盛り上がる…という感じでした。
途中までは、本当に退屈に思いながら見ていたんですが、ラストの素晴らしさで一気に拭われた気がしますね。
もし、もう一度見たら途中までのストーリーの評価もずいぶん変わるんじゃないかっていうくらい、「犯人のドラマ」が重厚です。

怪奇性や演出は前作に比べるとおとなしく、前作のように急に映像が変になることはあまりありませんでした。
ただ、これがないと物足りない…というのはあるんですよね。
スケキヨのように顔に傷がある人物はいたけど、その傷もおとなしめで、スケキヨのようなグロテスクな感じはない…。
死体そのものは、どの死体も印象的でしたし、手毬唄になぞらえた見立て殺人なのは面白かったですが、死体が映るシーンが少なかったため、大きな不気味さがありませんでしたね。規制でも入ったんでしょうか?
死体の口に延々と流れ続ける水や、葡萄酒に浮いてる首、顔が暖炉の火で焦げていく姿はかなり不気味でしたが、どれもちょっと映っただけ。
前作はこの死体の出方もテンポが良かった気がするのですが…。

ラストの後味の悪さや、動機の悲しさは全作と共通。
ただ、これは本当に「前作と共通」であって、基本的な内容が全く同じですね。
まあ、これはある種のパターンか何かなのかもしれませんが…。
犯人の最後の自殺を「防げよ!」と思うのも全く同じ。この警察はどんだけ無能なんですか…。
犯人の死体と対面したある人物の慟哭も、この作品の後味の悪さを象徴する良いシーンでした。
犯人を憎んでいたのに、上がった犯人の死体は…………。犯人が判明する経緯を知らず、犯人の死体が上がった瞬間に、その動機さえ知らずに対面する…というのはやるせない。
金田一が「好きにさせましょう」というのも凄く辛いシーンでした。

汽車が走り去っていく時の金田一の問いかけが、汽笛で聞こえないというのは憎い演出でしたね。
駅名が「そうじゃ」なのも何となく笑えましたが、この問いかけもまた後味の悪さをかきたててました。
前作に比べるとやや劣るけど、視聴後の気分がまさに「良い映画を見た」という感じなんですね。
退屈に見えるシーンも、全て伏線だから省きようがありませんし、良い映画だったと思います。
ただ、どちらかというと「犬神家の一族」のほうがオススメですね。

2010/06/08 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2262(50%) 普通:1136(25%) 悪い:1136(25%)] / プロバイダ: 36209 ホスト:36373 ブラウザ: 6425
【良い点】
俳優達の名演、映像美、巧みな脚本で複雑なストーリーでもすんなり入っていけます。
(それでも伏線を完全に把握するためDVD2回観直しましたが)
特に事件の中核となる三件の娘殺しの見せ方とタイミングは絶妙。

第一の殺人。
殺人現場に不気味さはあるものの絞殺シーンを直接見せるなど最初の事件にしては若干、大人しい。
しかし、これは後の死体がさらされている場面と第二の殺人のインパクトを際立たせるタメ。
衝撃が冷めやらぬ内に本題となる手毬歌も明かされ、後二人は殺されるであろう事も示される。
娘は四人、生き残るのは誰だ〜?

第二の殺人。
ストーリー上、規定路線なだけに見せ方は最も上手い。
殺しのシーンは直接、映さず周囲の人々と更けていく夜でもって「忍び寄る死」を描写している。
最初の殺人では敢えて描かれなかった第一発見者と死体の遭遇シーンが初めて入る。ナイス・リアクション!
二時間強の長尺作品でありながら中盤の中弛みを見事に防いでくれた。

第三の殺人。
殺害前にキーアイテムを置くカットが入り、殺害シーンで誰が殺されたか見せるなど映像としての見所が先の二件に格段に劣る。
単体としては不出来に見えるが10分程前の段階で視聴者に事件の概要がほぼ掴めている。
物語の中核が「謎解き」から「犯人のドラマ」(=悪魔懸かり的犯行を重ねてきた人物の転落劇)に移行した事を示す。
事件直前の金田一の「犯人は必ずミスをする」、直後の見当違いの事を言う役回りの立花警部の「犯人の狙いは〜」もこれを補強している。

余談だが本作は当時、公開前からスタッフ側(それも演じた本人が率先して)犯人役が誰かばらしていたらしい。
「犯人のドラマ」で観客を圧倒する自信の表れであろう。

【悪い点】
青年側の描写が確かに弱いですね。歌名雄君だけ何故、モテる?
父親は女を口説く話術に長けていたそうですが彼は好青年という以上のものはさしてなく
青年団の中で容姿や人柄に飛びぬけて惹きつけられるモノがあったようには見えませんでした。

【総合評価】
監督、俳優陣を始め絶頂期のスタッフが作り上げた至高の一作。
ラストの悪魔に翻弄され続けたようなやるせなさを、もう一度再現するのは不可能に近い。
原作に直接、目を通した経験が無いのでどこまで映画スタッフの力量かは解らないが
「八つ墓村」(松竹版)が全編通じて「祟り」を体現した作品なのに対し、本作はまさしく「悪魔」を体感できる一作。
二年後に映像化される(原作執筆は本作が後だが)「悪魔が来りて笛を吹く」も本作の前では色褪せてしまう。
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<以下、凄まじくネタバレ>
「異母姉妹に比べて容姿にハンデがあり病弱な里子が不憫だった」と終盤にリカは語る。これは三件の娘殺しに共通した心情だが動機の半分でしかない。第一、第二の殺人は「息子を赦されない婚姻から守る」という理由もある。しかし第三の殺害対象となる千恵は歌名雄と恋仲でもなく、すぐに東京に戻る立場。動機は娘想いの逆恨みだけなのか?否、ここには嫉妬、それも母ではなく女としての(本人も殆ど自覚していないような)嫉妬がある。四人の女に孕ませるような、それでも「心底、憎めなかった」夫・源次郎は千恵の母・春江を選んでいた(彼女だけは自分が金のために男に利用されたとは最後まで言わない!)。それを知った瞬間、リカは悪魔に魅入られ、ささやかれていた。夫の顔を焼いた炎にさらされて生まれてきた里子には炎のような痣。冒頭で放庵が金田一に語った通り。
リカが手毬唄を知った経緯は明かされないが放庵経由なのは確か。由良家のお婆さんは三番の歌詞を最後まで思い出さないので、リカの「母」としての嫉妬心を煽るため彼が創作・改編した可能性まで残されたが、そこは謎のまま。ただ仁礼・由良両家を憎む放庵に殺人教唆の意図があったのは間違いない。しかし、彼は自分にとってはついでに過ぎない千恵殺しがリカにとっては夫を奪った春江に対する復讐となる事に気づいていただろうか?確かなのは東京で成功した千恵の帰郷まで彼が画策するのは不可能であるという事。
四組の母娘の中でかつては自分達と並んで不遇であったはずの春江・千恵が華やかないで立ちで戻ってくる。既に手毬歌を知っていたであろうリカは悪魔に背中を押されたような衝動にかられただろう。彼女は「憎いからといって何も殺す事はない」はずの最後の犯行まで躊躇無く及んでしまう。「放庵に捜査の目を向けるため手毬歌にあわせた」とリカは述べるが他に誰が知っているのか怪しいマイナー伝承がスケープゴートを仕立てるのにどれほど役に立つのか?金田一シリーズは捜査陣や被害者を誘導するため犯人が伝承・伝説を利用するのが定番だが本作の場合は犯人こそが伝承に操られており、しかも最後までそれを自覚できない。まさに「悪魔の手毬唄」なのだ。
呪われた自分の不遇を恨む事無く身をもって千恵を庇った里子の行いでリカの凶行は終る。しかし、これも見方によっては悪魔の差し金に思えてしまう。悪魔のような男達を手にかけた時から、自らが悪魔に取り付かれ、最後は悪魔によって地獄に叩き落される哀しい女性。本作のヒロインは知恵でも里子でもなく、母にして女であったリカである。犯行場面の鬼気(嬉々?)とした表情、最後の沼に身を沈めていく虚無と絶望に満ちた表情、岸恵子のまさに「一世一代」の名演技であった。

2007/09/05 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴 / プロバイダ: 36228 ホスト:36038 ブラウザ: 7013
いや〜こういう救いの無い展開が大好きなんです。私は。
岸恵子さんは本当にお若くて綺麗でしたね。

犬神家もそうなのですが、昔の村の閉鎖的でおどろおどろしい雰囲気というのがよく出来ていると思います。ただ2作目だからなのかマンネリ化したという印象も確か。しかし死体の見せかたに関してはむしろ犬神家より進化した感じを受けました。演出という点ではあんまり差はないように見えるけど・・・・1つと2つ目の死体は怖かった。

歌名雄は思ったより出番が少なかったです。当初は鍵を握る重要人物だと思っていたのですが、そうでもなく拍子抜け。
故郷に帰ってきたスター千恵も思ったほど。
代わりに親世代が大活躍で、かつての村で起きた事件と上手く絡められていました。
手毬歌の伝承の奇怪さも、この事件をより際だたせていたと思います。

欠点としては人間関係が壮大な割にはスケールが小さい所。
青年団の面々が早々に主軸から離脱していくので、その辺をしっかり描ききれば
複雑になって犯人の推定もより不可能になるんじゃないかなと思いました。
明らかに犯人コイツだろ・・・・ってのが終盤分かってしまうのは頂けないなあ。
最後の事件でやや目論み外し?みたいな面もありましたが・・・・。

ちなみに今回のトリックお孫さんの事件でも使われてましたw
結構有名ですし、これが出自なんでしょうか。
気になる方は本編を見てみてください。

2007/01/09 良いと思うコメント [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:792(58%) 普通:431(31%) 悪い:147(11%)] / プロバイダ: 18384 ホスト:18446 ブラウザ: 6287
いやもう、過去の殺人事件の被害者の顔が判別できないというのが好きですねー
「 犬神家の一族 」 もそうなんですが、つまりそれは誰だか分からないという謎があるわけですね。
これ以上はネタバレになってしまいますが、古典的な作品としての価値は大きいものがあったと思います。
本作は横溝の中でも人気が高いですが、雰囲気は 「 犬神家 」 などよりは地味な感があり、その点は残念でしたね。

2006/12/03 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:3333(33%) 普通:3524(35%) 悪い:3281(32%)] / プロバイダ: 27828 ホスト:27734 ブラウザ: 4184
村で起きた、奇怪な殺人事件に、我らが名探偵金田一耕介生年
が挑む内容のミステリー推理映画でしたな。30年前近くに
公開された作品ですから、映像は今から見れば古臭く感じられたけど、
それが却って事件の不気味さを引き立ててましたな。山椒、結構
大きかったけど、気持ち悪かったですな。うぉっまぶしっ!!

最後はお約束どおり、耕介青年の名推理で真犯人が明らかにされたけど、
その犯人が、被害者を撲殺したり、毒を飲ませて弱まった所を絞殺した
回想シーンは凄い生々しかったですね。お孫さんが活躍した金田一少年の
事件簿もこれ程の生々しさはなかったです。

キャストも634氏も仰られていましたが、石坂浩二氏等結構豪華で
安定してましたな。近々、同氏主演での犬神家の一族リメイク版
が上映されるらしいけど、これもいつかは見てみたいですな。
評価は「とても良い」で。

[推薦数:1] 2006/09/17 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2036(50%) 普通:791(19%) 悪い:1253(31%)] / プロバイダ: 20686 ホスト:20659 ブラウザ: 5234
結構豪華キャストが出ていたんですね。
昔、TVで放映していたのを見た記憶があるのですが、若山富三郎と石坂浩二のタッグに、市川崑の組み合わせなのだから、相変わらずの暗く、おどろおどろしい作風が印象に残っていましたし、死体のインパクトは確かにトラウマものだった感じです。

この手の作品の常連さんとして、大滝秀治や小林昭二も良いムードを出していたのですが、トリックの方は覚えてはいません。内容的には結構TVから離れられなかったと思うのですが、市川金田一はあまり制作方法や出来に落差が無いので、かえって印象に残らないのかな?
若山富三郎のキャラクターは確かに効果的でした。

金田一の作品の多くは加害者側に非があったというオチではあるのですが、事件や推理にそういった部分に、いろいろと伝説やという要素が加わるという手法が用いられていった事を思えば、現代の推理漫画やサスペンス作品では当たり前に使われている手法が、このシリーズから・・・という部分は注目出来るし、それから脱却した作品がなかなか創れないのも、本作や、そのシリーズのドラマや映画の影響が大きいのだろうと改めて認識させてくれそうな気がします。

2006/09/16 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:792(58%) 普通:431(31%) 悪い:147(11%)] / プロバイダ: 18384 ホスト:18446 ブラウザ: 6287
金田一映画の音楽というと、私は 「 犬神家の一族 」 の大野雄二氏を思い出しますが、本作などの田辺信一氏のものも、中々印象的なメロディーではあります。
内容そのものは、個人的にはドラマ 「 横溝正史シリーズ 」 の古谷一行の金田一の方が好みですが、本作では、私の大好きな 「 顔のない死体 」 が出てきて、死体の焼けただれた顔が昔定期購読していた学研から発行された雑誌にも掲載されて鬱になった記憶があります。
あとはフォーリーブスの北公次さんなどは印象的でしたね。
余韻が残る原作は、横溝では 「 犬神家 」 の次に好きな作品だったりします。

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2018/07/27 好印象 by (表示スキップ) 投票履歴 / プロバイダ: 10871 ホスト:11028 ブラウザ: 10317 [編集・削除/これだけ表示]
感じた事悲しい/怖い/びっくり/考えさせられた 
ストーリーとても良い(+2 pnt)
キャラ・設定最高(+3 pnt)
映像とても良い(+2 pnt)
声優・俳優最高(+3 pnt)
音楽とても良い(+2 pnt)

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