[小説]呼人: 2019/01/21 mosukuwa


よひと / Yohito
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2019/01/21 普通(+0 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/]
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十二歳で心と体の成長が止まった特異体質の呼人と、彼の周囲の人間を描いたSF青春小説。
野沢尚が本作で行ったのは、「映像では不可能なドラマ」の実現と思われ、単に金を注ぎ込めば可能な「映像化不可能」でもないのが一つの特徴です。
書かれた当時の社会状況や時代性も本作のファクターとなっており、後追いで読むと頭にハテナが浮かぶ描写が多いのもまた「ドラマ畑でブームを追ってきた野沢尚」の作品だと思わせるモノだったり……。

まあその時代が持ってる流行や世界観がそのまま倒影されてる点が非常に難点だったりします。
自衛隊や北朝鮮の核ミサイル、経済不況などなど、一応今とあまり変わらない社会問題に大きく尺を裂くのですけれど、実際のところ、あまりにも尺を裂きすぎて作者の知識自慢と捉えられかねないレベルでさえあります。
ここまでバランスの悪い作品って野沢尚でも珍しいんですが、何にしても『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』の随所で登場人物が挟むような社会批判が本作ではあの数倍クドくなっててちょっと辟易しましたね。

また、執筆当時1999年ながらも近未来を描写。
現在では過去となった2010年までの社会を描いているのですが、やはり近未来については大外れ。というより、架空の日本史が連続するので、『クイズ!正解は一年後』的な楽しみになっちゃいますね。
この2010年を迎えずに自身が命を絶つと野沢尚は感じていたんでしょうかね……。

反面、呼人のクラスメイトとの関わりや、「十二歳のまま」のリアル、永久に変わらない呼人と再会する事で辛い今を忘れて一時的に昔に戻った気持ちになっていく周囲の心理などは面白く見られるとは思います。
とりわけ小春との切ない恋愛や、呼人の教員の夢が大人に崩される絶望など、重く切ない彼らの生き方は共感あり涙ありで、部分的にはエンタメとしての質の高さを感じましたね。

評価は「普通」です。
テレビドラマを想定しながらも映像として描く事は絶対に出来ない事をやってみせた、ドラマ作家の試みの一作という感じ。
本作の後に『名探偵コナン』の脚本を書くのは因縁めいた物を感じますね。



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