[小説]瀧夜叉


たきやしゃ / Takiyasya
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文学総合点=平均点x評価数2,441位4,730作品中総合点2 / 偏差値48.46
1993年文学総合点41位79作品中
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作品紹介(あらすじ)

平安京遷都から百四十余年、東西の雄・平将門と藤原純友は手を結び、朝廷に反旗を翻した。
盟約の証に夫婦となった純友の息子九郎と将門の娘夜叉、悲運の役を担う千代童、夜叉の姉・如月尼らは戦乱に巻き込まれ、運命に翻弄される。
燃え上がる大地に陰陽師の呪詛の声が響く、妖艶なる伝奇ロマンの傑作。 (Amazon「BOOK」データベースより)
著者:皆川博子
単行本:毎日新聞社・1993年12月発行
文庫版:文春文庫・1998年4月発行
日本 開始日:1993/12
公式サイト
1. http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784167440053
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最終変更日:2013/07/13 / 最終変更者:ウクレレ / 提案者:遠野 (更新履歴)
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2006/09/28 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:250(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 7995 ホスト:8066 ブラウザ: 4184
平安中期、承平天慶の乱をモチーフにした、伝記ロマン――との表記は正しいのか否か。史実を巧みに発展させ、伝承を深く掘り下げる筆には、変わらずに感嘆させられてしまいます。幻想やひとの毒々しさを織り込み、縒り合わせ乍、形作られる壮大な世界は、ストーリーが進むごとに、牽引の力が強まるようです。

西国の大魁師、藤原純友の息子、九朗が、平将門との盟約の為に東国へ送られる、その情景より物語は紡がれてゆきます。耽美な文章の魅力もさることながら、兎にも角にも濃い登場人物や、臭気さえも感ずるような場面場面の描写は、圧巻見事、の一言に尽きます。
平将門がらみ、という事もあり、悲惨な結末が待っているのだろうと、覚悟しながら頁を繰り始めたのですが、直ぐに懸念は頭から剥がれ落ち、確りと浸かりきってしまいました。

私的に、蘆屋道満と安部清明の造形が面白くて、大変好みでした。夢枕獏の「陰陽師」に登場する二人のイメージが強かった所為もあるかもしれませんが、それぞれの在りようが何だか妙に新鮮で、魅力的でした。超越した存在という訳でもなく、表層の静謐も、容易く破れてしまう。能力の裏側に、弱さや卑小を潜ませる、まごうことなき人間であるのに、けれどもひどく異質で、そこも良かった。
それにしても、まさか彼が、蘆屋道満になるとは思ってもみなかったなあ。彼自身の思考は、とてもではないが共感出来るものではないし、身も蓋も無い言い方をすれば、傍迷惑だ、とも思います。幾人もの運命を大きく変えたようにも見えるけれど、只単に歴史の大きな流れに、彼こそが掬い上げられただけなのではないかと、捉えられなくもありません。
ですが、彼の執着や屈辱、美丈丸に向ける言葉の鋭さには、惹かれてやまないものがあります。登場人物中、誰よりも思うが侭に行動しているのは恐らく、この人なのだろうなあ。

彼とは対極の位置にある、九朗の存在も、ひそやかに際立つものがありました。状況に絡め取られ、ゆらゆらと逃げ惑うような印象があったのですが、その諦観が形成してゆくキャラクターが、地味なれどこれまた面白かった。
絶望へと切り込んでゆく人物が多い中、留まることを選択する彼の存在が、作品に奥行きを与えていたようにも思えます。そういえば作中、共感を覚えることが出来たのは、彼ひとりだけでした(笑)

物語の背景が掴み辛かった序盤こそ、入り難さを感じましたが、一度世界観を取り込んでしまえば後は、どっぷりと酔わされるばかりでした。辞書を引く手間を惜しみつつ、ほぼ一日で読了。
難を言えば、ラストがあっさりしていたのが、残念といえば残念かもしれません。非常に華やかで、吸引力のあるシーンなだけに、もっと書き込んで欲しかった。そこだけが一寸、物足りませんでした。

可也グロテスクな描写表現もあるのですが、それが作品の酩酊度を高める一端を担っています。極々私的な印象ですが、忌避感情を抱かせない、ギリギリのラインで踏みとどまっている風。
相当濃厚な物語である故に、読み手を選んでしまうきらいはありますけれど、好きな人には堪らない一冊なのだろうなあ、とも思います。
妖しい時代物がお好きであるならば、時間に余裕のあるときにでも、是非に。

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... (文藝春秋1988.8.10) ・陰陽師 飛天ノ巻(文藝春秋1995.6.20) ・陰陽師 付喪神ノ巻(文藝春秋1997.11.30) ・陰陽師 鳳凰ノ巻(文藝春秋2000.6.30) ・陰陽師 龍笛ノ巻(文藝春秋2002.1.15) ・陰陽師 太極ノ巻(文藝春秋2003.4.15) ・陰陽師 夜叉姫・上( ...
記事日時:2005/12/30

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