[小説]片耳の大シカ


かたみみのおおしか / Katamiminooosika
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文学総合点=平均点x評価数1,164位4,624作品中総合点3 / 偏差値49.82
1951年文学総合点5位16作品中
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著者:椋鳩十
日本 開始日:1951
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最終変更日:2012/12/05 / 最終変更者:mosukuwa / 提案者:634 (更新履歴)
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[推薦数:1] 2006/07/01 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:147(77%) 普通:35(18%) 悪い:9(5%)] / プロバイダ: 5898 ホスト:6011 ブラウザ: 7395
椋鳩十氏は不思議な作家で、児童文学の動物記は動物を擬人化することなく表現し、周囲の人間と絡めて丁寧な作品作りをなさっているのに、一方で社会に対する皮肉を込めた面白おかしい童話もお書きになっています。
特に前者はどの学校の図書館にも必ず置いてありますから、どなたも1度はご覧になった事があるのではないでしょうか。

作風は、どちらかと言えば「白い牙」や「荒野の呼び声」で有名なジャック=ロンドンの作風に似ていると思います。第3者から見た描写は動物や人間に対して中立で、感情の描写はやや盛り上がりに欠けると云う欠点はあるものの、読む側の立場からすれば様々な捉え方が出来て、児童文学としてはこう云う作風の方がむしろ良いのではないかと思います。
「日本のシートン」の異名(前出の634さまの論評より借用させて戴きました)があったとは知りませんでしたが、正にその通りの王道を行く動物記だと思います。

本作の舞台となる時代には猟を生業としていた方も多く、その方々から丁寧に取材したであろう本作は、時代背景や周囲の自然をきちんと表現した作品になっています。
屋久島に生息するシカは、ニホンジカの亜種で本来はあまり大きなシカではありません。しかし、それを追い求めていた人にとっては(釣り逃した魚の話が年を追う毎に1cmずつ大きくなる様に)とても大きな存在で、噂が噂を呼び、それ以上の存在にしてしまったのでしょう。

主人公が、大鹿を仕留める機会がありながらそれを止めてしまう最後の描写は、シートンの「サンドヒルの牡鹿」がベースになったと思われます。
人間と云う生き物は、闇雲に突っ走っている時は、とにかくその対象物に対して意地になってしまうものですが、いざ面と向って向き合ってしまうと、案外「そんなちっぽけなものの為に・・・」と妙に冷静になれたりするものです。この辺りが、作者の持ち味である「ちょっと社会に対する皮肉」が盛り込まれていると思います。

ですが、現在はこの島と云う特殊な環境下でシカが爆発的に繁殖し、自然に多大な影響を与えています。猟と云う行為は一見乱暴な行為に思えますが、天敵の少ない我が国では、中途半端な動物保護の精神もなかなか厄介な存在であり、それもなかなか皮肉な現実であると思います。

最後に・・・本作の挿絵ですが、どの本でもニホンジカ(=ホンシュウジカ)が描かれており、その描写には少々首を傾げます。
ヤクシカは小型であるだけではなく、角の枝分かれがホンシュウジカ程、顕著に現れない種類なのです。「大鹿」なのですから大きさはある程度個体差もある事ですし、許容の範囲なのですが、角の描き方には大いに不満があります。
「ももたろう」の絵本でも本来ニホンキジの首は無地なのですが、首の白いリングのあるコウライキジが堂々と描かれているものが多く、児童文学の立場をわきまえていない出版社の不勉強さが目立つ作品が最近多い様に思います。

細かい事かも知れませんが、視覚から入る刺激は強烈なものがあります。
近年は差別用語等には必要以上にナンセンスと思える程の注意を払っているのですから、児童文学である以上、出版社はこの点にも充分な注意を払うべきだと思います。

2006/03/16 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2050(50%) 普通:798(19%) 悪い:1274(31%)] / プロバイダ: 20897 ホスト:21020 ブラウザ: 5234
日本のシートンの異名を持った椋鳩十の動物文学では「大蔵じいさんとがん」と並ぶ名作だと言えるでしょう。
本作は一頭の巨大な鹿を追い求めようとする猟師達の話で、大ジカを追い求めようとしたのだけど、最後に大ジカを射止める事を断念するというものでした。

ある意味、「シートンの動物記」の「峰の王者クラッグ」の日本版と呼べるものかも知れません。
巨大なオオツノヒツジを追い求めようと、多くの猟師がその羊に戦いを挑むのですが敗れ、ある者は引き返し、ある者はその姿に感動して、倒すのを断念します。しかし、一人の老猟師が執念深く追い続けていくというこのシートンの話に似たタッチです。

しかし、シートンでは最後はクラッグは射殺されてしまいますが、本作の猟師達は大ジカを射止める事を断念して、鹿の領地から去っていくというラストで締められています。これは、最後は悲劇的展開で終わらせようとはしなかった日本流のアレンジです。

しかし、クラッグでは射止めた老猟師がまるで生きる目的を失ったかのようにラストは頑迷になってゆき、最後は雪崩で小屋毎潰されてしまい、クラッグの首だけが無事だったという皮肉な終幕を迎えます。
こういった変更点は、クラッグに対する本作の答えとも言え、魅力的な動物をいつまでも活かしておきたいという意味合いがあるというメッセージもあると言えるでしょう。

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2019/10/06 好印象 by (表示スキップ) 投票履歴 / プロバイダ: 8847 ホスト:8915 ブラウザ: 10416 [編集・削除/これだけ表示]
感じた事美しい/考えさせられた/道徳心&モラル 
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