[小説]十二人の死にたい子どもたち


じゅうににんのしにたいこどもたち / Juuninin no shinitai kodomotachi
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文学総合点=平均点x評価数2,072位4,503作品中総合点2 / 偏差値48.67
2016年文学総合点7位28作品中
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著者:冲方丁
出版社:文藝春秋
日本 開始日:2016/10/15(土)
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最終変更日:2017/01/11 / 最終変更者:mosukuwa / 提案者:mosukuwa (更新履歴)
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2019/01/21 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2204(58%) 普通:769(20%) 悪い:858(22%)] / プロバイダ: 44288 ホスト:44225 ブラウザ: 9177
冲方丁が執筆した初の「ミステリ長編」。
一応クローズドサークルを舞台にしたミステリに分類される内容ではあり、始めに館の見取り図がある「本格」ものかと思いきや、そちらの期待に沿う内容とはまた別種の作品となっています。
というのも、すぐには気づかず、読み始めてからだんだんとわかってきたのですが、『十二人の怒れる男』や『十二人の優しい日本人』といった密室法廷劇のオマージュとなっており、「集団自殺の為にやって来た少年少女の前にあった謎の死体は誰なのか」というミステリが繰り広げられる作品になってるんですよね。
やや『星を継ぐもの』にも似ているかもしれませんが、そうした問題を議論しつつ、順番に明かされていくのは十二人の素性や発端、スタンスや考え方などなど。
王道的なプロットですが、十二人の少年少女を自然にまとめあげていったのは面白く、「面白そうな題材」をそこで終わらせずに見事名作に仕上げてもらったなと感じましたね。

まあ、『マルドゥック・スクランブル』でもポーカーゲームなどで複雑なプロットをくみ上げてましたけれど、本作の場合はおそらくプロットは最初にあまり存在せず、人物設定の基盤だけ作ってからその次にストーリーを作ったんじゃないかと思います。ただ、そこもやっぱり十二人もの人物を一冊の中でそれぞれ輝かせるのは難しいので、結構うまく差別化しようという意思が感じられてましたね。
自殺志願者もいろいろですが、ここは世にイメージされるような「リアルで恵まれていない人物」に限らず、もっと個性をバラけさせる為に「有名人」「ド天然ギャル」「ファザコン」などなどの属性も入れてきていて、常にだれか一人にはぼんやりとした共感を持たせられるシチュエーションにしているのは見事。ただ絶望しているから死にたいのではなく、「絶望していると勘違いしている」「ここで死なないと後でもっと苦しんで死ぬ事になる」「死ぬ事をメッセージにしたい」「死ななければ自分の命を誰かに利用される」というように、理由そのものがバラエティに富んでおり、またその理由自体が個々で反発・対立してしまうのが物語を膨らませていました。
人物の数がこれだけいて一人の作者だと、どうしても「全員が作者の思想の範疇」で行動しがちなのですけれど、きっちりと内心の哲学やスタンスがバラけており、作者の意思が物語に介在しない「人物が動いている」感覚があって、その辺りは一般のミステリを読むより格段に読み応えがあったかと思います。
まあ、『シュピーゲル』シリーズや『蒼穹のファフナー』を始め、複数の少年少女の成長劇を描出する冲方丁ですが、会話劇の中での成長という点ではやはり「十二人の〜」の二作を彷彿とさせます。
終盤に畳みかけるような「理由明かし」アリ、ちょっとクスッと来てしまうようなギャグアリ、読後の爽やかさアリ、ミステリとしての多段構造アリ、人間ドラマアリ……と、なかなか贅沢な作品でしたが、もしプロットを最初から組んで作られていたら絶対に起こるような「軌道修正感」がほとんどなかった点なんかは神がかり的と思います。

概ね満足ですが、こういう作品の場合は、「映画を先に見て読む」もアリなのかなと感じましたね。
キャラ分けの工夫が成されていても最初はちょっとキャラクターが判別しづらいところもあり、そこはちょっと難しい。
豪華キャストによる「映画版」も、どう考えたって面白くならないワケがない作品には思うのですが、果たしてどうなるのかちょっとそこの不安もありますね。
この小説をもう少し読みやすくする副テキストとして、漫画や映画のような他媒体があると嬉しいし、橋本環奈が丁度良い役柄で出ている点なんかも含めてイメージしやすくなるとは思うんですが……。
何しろ映画に着想を得ている小説なので、映画に向いてるんですよねコレ。

評価は「とても良い」です。
後ろ向きっぽいタイトルに反して想像以上に良作。
今まで何故誰もやらなかったのかという題材でしたが、ここまで温存されていたのは功を奏したかなと感じました。

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