[小説]イリヤの空、UFOの夏


いりやのそらゆーふぉーのなつ / Iriya no sora,UFO no natsu
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作品紹介(あらすじ)

「 6月24日は全世界的にUFOの日 」
新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の 「 UFOの夏 」 は始まった。
当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。
驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は 「 伊里野加奈 」 と名乗った……。
著者:秋山瑞人
イラスト:駒都えーじ
出版:メディアワークス
文庫:電撃文庫
日本 開始日:2001 電撃hp / 終了日:2003 全4巻
46,7725248
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最終変更日:2013/07/20 / 最終変更者:ソンプーGU / その他更新者: 雪霞 / サミアド / マナユナ / SS / 提案者:トミ (更新履歴)
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2012/12/31 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
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場面、シチュエーションの移動が突如である事とイリアの謎、これが大きいと思います。叙情的ラブストーリー的な出だしでありながらドキドキさせるほうではなく宇宙人、超常現象的な雰囲気を出会いのシーンに混ぜて複数のテーマが乱立する作品である事を示唆しています。

プールに忍び込みそこで出会い、泳ぎの練習をする、でも彼女には金属球がしこまれている、そして謎の男が彼女を連れ去ってしまう。彼女は何者なのか。そして新聞部の様子へ移行し、個性的な面々やプライベート会話の様でレベルの高い憶測も飛びます。ただの噂から裏付けのある話まで混ぜて引き込みます。
この時点でラブストーリーだと思っていた思い込みは消えます。

文章も読みやすく「女の子だった」で一文が終わっている事等も強い印象を与えます。
UFOの基地の事を追っていく事も趣味とハイスペックを兼ねている水前寺達だからこそ説得力が増します。マニアの話と確かな噂を混ぜています。それで何気に伏線となる戦争の話題も出ます。同時に一人でイリアの事も考えます。

イリアの謎めいた雰囲気の出し方が昌穂と対比されるように描かれ、浅羽もおかしくなる。訓練に突如突入しパニックになる危機感が秀逸。イリアが宇宙人ではというミステリー感と両立出来ているのが凄いです。しかも自動小銃・・無線マニアによる園山基地の暗号波キャッチ、悲鳴・・

これ4冊構成だったのですか。でも期待感もこめてと言う意味と読みやすさと様々な要素を複合させている事が好評価に値します。

[推薦数:1] 2012/07/16 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴 / プロバイダ: 27699 ホスト:27767 ブラウザ: 3458(携帯)
※ネタバレ含みます。

誰がなんと言おうと、この作品はイリヤのハッピーエンドで終わったと思います。例え最後の戦いの末に還らぬ人になっていたとしても、戦うことを止めることが出来なくとも、彼女は最後の最後で幸せな気持ちでいられたのだから。
浅羽は彼女を幸せにしてやる為に存在した主人公であり、きちんとその役目を果たしました。
キャラクターは皆個性的で、それに加えて作者の独特の文体は体にそのまま染み込んでくるかのような自然さで、物語にすぐ入り込めました。
浅羽直之はあまり好かれることのない主人公でしょう。何故なら、物語を追っていていると分かる通り、徹底的に中学生をしているからです。先輩の後ろを金魚のフンのように着いていくし、イリヤに接していたのは本質的には不思議な存在への好奇心しかなく、考えもなしに他人を非難したり、ちょっとした問題にぶち当たると一人になろうとトイレに籠ったりと、その言動がいかにも中学生なのです。
だからこそ逃避行を実行する前の虫の摘出シーンは凄い盛り上がりを見せました。それまで現実からの身近な逃避先であったトイレの個室で現実に抗うという、ここでイリヤの為に行動する浅羽の男気を感じます。

……それが、のちにとんだ引っ掛けであると判明した時には驚かされました。
そう思うに至ったのは、吉野の存在が大きかった。上辺だけ浅羽達に善人っぽく振る舞い、危険が迫ると手のひらを返し、イリヤを強姦しようとしたこの男は自分のことしか考えていない、浅羽達といたのは単に自分の為でしかなかったからでしょう。それがどれだけ他人を傷つけるかにも気付かないフリをして。

その時、浅羽は運悪く場を離れていました。中学生の彼の思考は半ば現状を把握することを放棄しており、全て上手くいってると、そう思い込んでいます。だから、橋の下でのマスターベーションは一瞬の気の緩み。逃避行という非日常からの解放を望む心がそれを止められるはずがありません。

そうして、自分が少しでもイリヤから逃げてしまったが為に、彼女が吉野に襲われたと知った浅羽は気が動転し、線路にてイリヤに罵倒を浴びせてしまう。中学生の思考では、これが限界でした。
ここで注目して欲しいのがこの一連の浅羽の行動が、吉野と瓜二つだということ。
結局のところ、浅羽にとってイリヤは夏休みと同じ存在でしかなかった。離れられると困るから守っていたに過ぎない。浅羽もまた、自分の為に動いていたのであって、イリヤの為ではなかったのです。 だから浅羽は、吉野がイリヤを強姦したのと同じように、イリヤを罵倒したのでしょう。浅羽が自分の為に頑張れるのは、精々が首に埋まった虫を取り出す程度。そう思わざるを得ませんでした。

ただ、浅羽はそのままで終わりませんでした。終盤、イリヤの記憶退行が進んでいき、二人と一匹の歪んだ逃避行、そして徐々に浅羽の精神が追い詰められていく過程は痛ましいものがあり、ページが随分と重く感じたのを覚えています。やがて逃避行が終わり、南の島でイリヤと再会した場面で、浅羽はイリヤに愛の告白をします。
この告白は、それまでの浅羽の行動とは動機がまるっきり変わっていました。この時、初めて浅羽はイリヤを救いたくて、守ってあげたくて、自分の為じゃなく、彼女の為に行動したのです。この場面で僕が受けた感動といったら、とても言葉で表現できるものではありません。
結局、イリヤは空の彼方に消えてしまう訳ですが、あの告白の場面で浅羽のやるべきことは完遂したと思うので、このラストは大変満足と納得のいくものでした。
この作品はSF要素を色濃く匂わせながら、ほとんどそっちの方面の説明がなく物語が進行していきましたが、それは逆に未知の不気味さを強調させる良い演出になっていたと思います。得体の知れない何かとイリヤが戦っている。中学生の浅羽が動くのに詳しい背景は不要。とにかくイリヤが困っている。それだけで良かったんですから。

今思えば、なんてことはないボーイミーツガールです。でも、ここまで完成度の高い作品は類を見ません。評価は最高で。

2011/10/30 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:95(65%) 普通:13(9%) 悪い:38(26%)] / プロバイダ: 9609 ホスト:9529 ブラウザ: 11131
【良い点】
・ライトノベルにしてはハードな展開が多くご都合主義な展開がほとんどない事。特に三巻四巻は素晴らしい出来だったと思う。
・ありきたりなハッピーエンドでない所。
・文章は独特であるが非常に細かい部分まで描写されており緊張感などの演出が良くできている。三巻の浅羽と虫のトイレでの奮闘は本当に手に汗握って読んだ。
・水前寺など非常にインパクトの強いキャラがおり、ギャグも笑える。

【悪い点】
・四冊で収まる話ではなかった気がする。正直あと一巻は欲しかった作品。
・ヒロインの伊里野に救いが無い様に感じた。終わり方は文句のつけられない出来だが、本当にもう少しページ数が欲しかった。

【総合評価】
非常に素晴らしい作品です。読んでよかったと思いましたね。
笑える所は笑え、泣ける所は泣くとができエンターテイメントの見本の様な作品です。
特に作者の文章力に圧倒されましたね。ここまで細部まで凝った表現をできる人など一般文芸でもそうは居ないでしょう。
惜しむらくはその売り方、メディア展開ですね。
一冊に収録する話を調節したりして全五巻くらいで売っていればもっと伸びた気がします。ラノベに捉われなくても良かったのではないかと思いましたね。
作品の完成度が高いだけにもう少し知名度が上がって欲しい作品です。
評価はもちろん最高です。

2011/05/10 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:39(61%) 普通:12(19%) 悪い:13(20%)] / プロバイダ: 24480 ホスト:24207 ブラウザ: 10770
【良い点】
ありきたりなハッピーエンドではないところ
絵 登場人物の性格
【悪い点】
短い...
もっと長編にしてほしかった。
【総合評価】
ハッピーエンドが多すぎる気がする。
最近主人公とかその周りの人に都合の良すぎる展開になる本が多すぎる。
この本の最後に伊里野が奇跡的に帰ってこれた、なんて展開だったら、僕はこの作品の評価に最悪をつけていただろう。

2011/04/10 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:46(65%) 普通:11(15%) 悪い:14(20%)] / プロバイダ: 19896 ホスト:19998 ブラウザ: 6314
好きな人のために、世界を捨てる。
ライトノベルレーベルであまり見かけない、幼さ故の一途さ。
えげつない描写や独特すぎる文体など、魅力と映る点は非常に多いですが、
ぼく個人はやっぱり直之と加奈の逃避行以後の物語が好きですね。

痛々しいまでに鮮明な世界観、プラスマイナスの激しい登場人物たち、
それから生き死にのかかった二人の想い。
面白おかしい語り口に隠された残酷な暗闇が、ぼくを捉えました。

いろいろな魅力を言葉で説明しきるのは、ぼくには無理ですので。
きっぱりと『最高』をつけ、それにすべてを込めます。

2010/04/14 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:545(70%) 普通:88(11%) 悪い:148(19%)] / プロバイダ: 17997 ホスト:17896 ブラウザ: 10771
【良い点】
ライトノベルの持つとっつきにくさと、ヘビーな小説の持ついやらしさや汚さの共存。
なんといっても全部きれいに片づけないところだな。前半部はまぁ、序章に過ぎないライトノベルノリだが、やっぱ後半のきっつい展開が好き。
普通こんな展開にしないだろということをやる。どこにも、キレイなものは存在せず、無償の愛はない、人間腹が立つと怒鳴る、それが取り返しがつかないとわかっても、欲に負ける、結局ガキはガキそれ以上でもない、権力ある大人の前にはどうにもならん。
こういう世知辛さ、諦念、これらがこの作品の良いところ。

ただ、上にある特性を前面に押し出すには重要なのは前半の中学社会と水前寺などの存在。これはもう単純に作者がうまいんだと思う。
前半後半のバランスがうまいんだろうな。

【悪い点】
もう少し色々変えればライトノベルにする必要はないと思う。良作だからこそ、もっと上手いこと商売出来た気がする。

【総合評価】
最終兵器彼女と色々と似る部分があるが、各々違う特色がある。比べて読むといいかも。
純粋で重いSF。個人的には感動はあまりしないが、普通にSFモノとして面白い。

2009/04/13 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:5(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 3627 ホスト:3649 ブラウザ: 2458
なんといっても心理描写がうますぎる!
多少エグかったりエロかったりするのもその描写で引き立っています。
また、細かい行動や状況をリアルに再現しています。
SFチックな内容もかなり精巧に練られています。
SF好きにはぜひおすすめしたい一冊です
ただ、ライトノベルといえるほど軽くは無いので、読むときにはご注意ください

2008/11/13 最悪(-3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:4(40%) 普通:1(10%) 悪い:5(50%)] / プロバイダ: 48714 ホスト:48860 ブラウザ: 7590
同じ作者の「猫の地球儀」楽しめたけれど、これは無理。最初の3行目から最後まで主人公が抜本的にガキ臭く、また、ヒロインが無口という有様で。あとは、まったくギャグが面白くなかった。だから、文章の言い回しも含め、つらくてつらくて。かっこよさがない。4巻においては不快なものがみられたし、自分が2度目を読むことはなさそう。

2008/10/30 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:6(75%) 普通:1(12%) 悪い:1(12%)] / プロバイダ: 1300 ホスト:1146 ブラウザ: 8656
【良い点】
・この作品から強く感じる郷愁感が好きです。
・登場人物たちの持つ強さと弱さが好きです。ちょっとした苛立ちから容易く人を傷つける。そして人を傷つけることで自分もまた傷ついてしまう。そんな登場人物たちがとても愛しく感じます。

【悪い点】
・あったかもしれませんが良い点に塗りつぶされて思い出せません。

【総合評価】
一度しか読んでいません。
もう一度読むのは少し怖いです。泣いてしまいそうで・・・
でも当然手放すことはできない、そんな作品です。
読んでない人は是非読んでください。

2008/09/22 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:46(57%) 普通:14(17%) 悪い:21(26%)] / プロバイダ: 18295 ホスト:18546 ブラウザ: 8090
驚嘆すべきはその文章力。読んでいると、まるで自分が本当にそこにいるかのような錯覚に襲われます。作品全体に漂うノスタルジックな雰囲気が何とも言えません。キャラもみな個性的で(特に水前寺部長)、イリヤのクーデレ、否、デレクー(主人公の前ではクール、でも主人公のいないところではデレるという)っぷりもとても良かったです。ストーリーのほうも、意表をつく展開はないもののとても丁寧に作られており、安心して読み進めることができます。そして何より、最後の胸を潰されるような悲しみは、読了後四年がたった今でも忘れられません。評価は「最高」。これ以外には考えられません。

[推薦数:1] 2008/05/13 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:82(60%) 普通:17(12%) 悪い:37(27%)] / プロバイダ: 47617 ホスト:47546 ブラウザ: 4184
以前から「読もう読もう」と思っていたのと友人がこの作品を非常に高く評価していたのと、
休日前に古本屋で全巻そろって置いてあったのをきっかけにせっかくなので読んでみた。
そして今まで読んでなかったことがかなり悔やまれた。運がよかったな。全国レベルで見ても此処までの水準を誇る作品はそう無いだろう。『最終兵器彼女』には、ちょっと似てるかも知れないけど個人的にはこっちの方が好き。

おそらく日本を含めた先進国に生きる誰もが明日もやって来ると確信して、そして疑わないでいる『日常』の弱さとか脆さとか、そんな物を僕はこの作品を通して感じることが出来た。

前半部分、「嵐の前の静けさ」みたいな感じ。テンションはいい意味で中途半端に高い。
プールとか、訓練時の伊里野の言葉とか、しょっぱなから雲行きが怪しくなり、だが怪しくなった雲行きも、何の事は無い学園青春コメディの影に隠れて見えなくなる。ただ、伊里野の昔話とか、コミカルな紆余曲折の無い一本道の上にもちゃんと尾を引く『異変』が、物語後半部分に対する期待を煽り、徐々にヒビの入り始めた『日常』を不可視の緊張感を持って描いていたと思う。
原チャリとキャブのチェイスとか、泥沼の殴り合いのケンカとか。水前寺の「おっくれてるぅ――」とか、とにかく笑えるコメディ部分は作品全体を通して見ても大きな魅力の一つに数えられる。個人的には水前寺がUFOに路線を変更する事を発表するあたりがかなり好き。浅羽、秋穂、水前寺の掛け合いがとにかく最高。
ここで大いに笑っておくのが得策だろう。

後半部分、シリアス全開な展開に変貌していく。
前半部分とのテンションの落差がかなり大きい為、その分突き落とされる感も結構デカかった。
『徐々に失われていくこれまでの日常』や『不確かな明日への不安』とかそういったような「崩壊」と、それを実感できないでのほほんとしている異変に鈍感な人々。削れて減りながら、無茶苦茶な壊走を続ける浅羽と伊里野の逃避行の顛末。そして完全に崩壊した伊里野の自我など、その描写の素晴らしさは圧巻の一言だった。周囲が無音になる錯覚を覚えながら、ページをめくっていたのを覚えている。
『最後の道』における浅羽の未来予想図。あれにはヤケクソに涙腺が刺激された。2順目では最後がどうなるか知ってたので、余計に悲しかった。
水前寺の地下壕中の描写も、読者に対して不可思議で不安な雰囲気を送信していて、訳も無く興奮した。
そしてクライマックス。「史上最高クラスの完成度を誇るバッドエンド」だった。浅羽の伊里野に対する愛の告白。叫び。非の打ち所の無い完璧な終末。感動しない方がどうかしてたと思った。涙腺刺激されまくりだった。
個人的にはあのまま伊里野が出撃せずにUFO地球が滅ぼされ、あるいは侵略されて終わっても全然かまわなかったように思えてならない。
自分勝手な意見かもしれないが、それでもあの2人の為なら滅びてもいいような気分になれた。
ただ、水前寺と秋穂が完全に空気と化していて、特に水前寺は志半ばで消えてしまい、特に重要なポジションに着くわけでもなく降板してしまった上、宇宙生命体に関しての記憶を失ってしまい、単なるギャグキャラに成り下がってしまっていた。記憶が残っていたらそれはそれで問題だが、何らかの方法でよりスッキリする形にしてほしかった。そこだけは非常に残念である。

番外編の短編に関しては、ゾクゾクさせるような『異変』とか、緩急のメリハリが付いた『日常の中の非日常』とか、かなり楽しめる要素が大きかった。
個人的には『ESPの冬』が好き。水前寺が浅羽に語った超能力の存在、オカルト、科学の欺瞞に関する理論には普通に感動できた。そしてその後のハチャメチャな展開と意味深なラスト。
なかなかに秀逸な短編だったんじゃないかと思う。
『死体を洗え』も、背筋にゾクンとくる中身だった。これを書いてる今でも背筋が寒くなってくるほどに激しいインパクトを残す短編だったと思う。4巻につながる伏線の役割もあっただろう。
『そんなことだから』も全体的になんとなく笑える、そして脱力感にあふれた展開が続き、最後に凍りつかせる。ただ、真相を示唆するような内容だったため、「連載作品」ではなく、「4巻構成の小説」としては多少難があったかなとも思う。短編だけを集めて出せばそれはそれで味のあるものになったかもしれない。
3篇ともに物語にそれほど深く介入はしていないものの読み応えのある中身だった。

『イリヤの空、UFOの夏』にはなかなか出せるものではない、類稀なるリアルな迫力が随所随所に見受けられる描写にあふれかえっている。
筆頭には浅羽がトイレで首筋を抉るところだろう。目を逸らしたくなるのと、自分の首筋の仮想的な激痛に苛まれつつも、読んで、そして感心した。「こんなに『痛さ』を文章でリアルに表現できる作家がいたのか」と。本当に読んでて苦しかった。自分の中では、これ以上のものは存在しない。良い意味で二度と読みたくない部分だった。
対して『無銭飲食列伝』は、いちいち描写が暑苦しくて、楽しかった。
ふざけた中にも切迫した息苦しさが伝わってくる。吐いたり噴いたり汚いが面白い、笑える話であった。
余談だが、鉄人定食の完食最年少記録が『水前寺邦博』の15歳というのが結構ツボだった。
あと書き方に関して特筆すべきは精密な心情描写だろう。特に後半部分に差し掛かるあたりからの描写に著しいものを見れる。壊走を続ける浅羽の自分の弱さに対する絶望感だとか、自分が自然と祖母の家を目指してしまっていた事に対する失望であるとか、伊里野の上司連中の伊里野に対する期待に近い、ズルいけど誰も否定できそうに無い感情だとか。そんな感情に対する憂い悲しみとか。散々利用してきているけど皆伊里野の事を愛していたりとか。
もうこればっかりは読まないと解らない。
また、各話タイトルのつけ方も秀逸だったんじゃないかなと。タイトル見ただけで中身に関してアレほどまでの期待を持たせられた事はいまだかつて存在しない。

水前寺邦博は素晴らしすぎる人物だった。理論派で性格の良いハルヒみたいな男。
あくなき探究心と無限に広がる好奇心。
そして何より絵に描いたような有限実行さ加減を誇るその行動力に、圧倒され、魅了され、やられた感じ。
という訳で一番好きなキャラクターは『水前寺邦博』で。
『大食い』とか『土蔵暮らし』とかいう設定も最高だったし。
秋穂とか榎本とか他のキャラクターも良い味を出してた。

食欲が減衰するほど良い意味での欝で切ない物語。心中にグッと来るのだ。何かが。
表紙が「オタっぽい」とか「キモい」なんて言って軽蔑したり敬遠したりしないで、
とりあえず一回読んでもらいたい作品。色んなことを教えてくれるだろう。
皆さんもおっしゃっておられるように、表紙で中身を判断するのは愚かの極みだ。
別に表紙が悪いなんていうつもりは毛頭無い。僕は駒都の絵は大好きだから。

評価は「最高」以外は考えられない。欠点など、他の部分に隠れて見えやしない。
僕はこの作品がとにかく好きだ。
典型的ながらも確かな成功を収めた『シャナ』と肩を並べる『中二病』作品の代表。
ライトノベルの最高峰に位置する作品だろう。

是非読む事をお勧めする。

2008/05/12 普通(+0 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:21(52%) 普通:8(20%) 悪い:11(28%)] / プロバイダ: 32332 ホスト:32506 ブラウザ: 6034
う〜ん……
青春モノが大好きなので、評価の高いこの作品は絶対に自分に合う!と思って
読んだのですが……なんとも

設定がSFすぎたのかも。部長とかもキャラが濃すぎた。
もっと学園中心で、ゆったりとした時間でよかった。

2008/03/30 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:7(54%) 普通:2(15%) 悪い:4(31%)] / プロバイダ: 53836 ホスト:53791 ブラウザ: 5234
古本屋で何とは無しにふらりとこれを手に取って読んだ私は実に幸運だと思います。
私はこの作品とよく比較される「最終兵器彼女」等を読んでいないのでストーリーに関してはあまり客観的な意見を述べられないのですが、展開は良いと思います。そのストーリーに深い悲哀を与えているのが秀逸な文体です。「灼眼のシャナ」の文体が事象を描写する点において長けているとすれば、この作品の文体は心情を描写する点において私の読んだ中では最高水準のものです。浅羽を始めとする人物の思考が直接地の文に入ることにより、また文章全体にある独特のリズムにより、私は感情移入し易かったです。
ストーリーから読み取れる事といえば、全ての人間に共通する「無力」であると私は思います。結局伊里野を繋ぎ止められなかった浅羽、結局捕まった水前寺、結局伊里野を出撃させざるを得なかった軍関係者達。最後の最後にこれらから脱した唯一の人間が伊里野で、現世のしがらみに縛られている限りどこかに弱さを残す人間の哀しさを暗に示していると見ることができます。
私が個人的に最も好きなキャラクターは水前寺です。私の理想像ですね。
感傷的な情景に彩られた作品でした。評価は「最高」とします。

2008/01/14 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:15(56%) 普通:3(11%) 悪い:9(33%)] / プロバイダ: 12450 ホスト:12422 ブラウザ: 2459
1,2巻ではさりげない日常の中に異常さや、影の部分が不安を煽りながらも基本的には学園ラブコメ風のストーリでした。
それが3巻になり急転直下、4巻で怒涛のラストを迎えることになります。

この作品はセカイ系(分からない方はwikiで調べてください)と呼ばれる部類に入るのですが
セカイ系にありがちな「中間点全部すっ飛ばし」の方法ではなくある程度軍事やその世界を説明しているのが特徴的です。
それによって作品にリアリティが生まれどんどん引き込まれていきました。

また物語の中盤以降は目をそらしたくなるような場面がいくつも描かれていて、
それなのに次が読みたくなる不思議な現象に襲われました。
「悪役の不在は、正義の味方の不在より千倍も万倍も悲しかった」このコトバが頭から離れません。

最高です。

2007/07/01 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:1(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 5497 ホスト:5390 ブラウザ: 5234
ここまで自分に影響を及ぼした作品はリボンのこどものおもちゃ以来です。特に四巻を読んだあとは一週間ほど鬱状態になりました。私は3巻まで楽しんで読んでいました。「正しい原チャリの盗み方」、「無銭飲食列伝」などとても面白かったです。そして3巻のラストで浅羽が逃げきってやる宣言をした時、テンションはMAXでした。しかしその後の急転直下ぶりといったら・・・・・悲しすぎます。なんだか自分は幸福であってはいけないのかもと思うほど、せつなくて悲しくて、かわいそうでした。
濃厚で特徴的なテンポを持つ文章表現はもちろん。キャラクターの特徴をよくあらわしている会話や反復をうまく使っている文。パーフェクトです。キャラの良さは言うまでもありませんね。よかった探し表とかの小物もいいです。ラスト感動しました。しかしやはりBADENDというのが残念でした。はっきりはしていませんがおそらくそうでしょう。感動はしましたが、ペギーの力でなんとかHAPPYで終われなかったのかと思います。
もうおそらく私はこの作品を読み返すことはないでしょう。飲み込まれ、また鬱になってしまう気がするので。しかし、私は一生この作品を愛すると思います。それほどすばらしい作品でした。

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「非日常を描くためには、まず崩壊させるべき日常を描かなければならない。本作前半の「ちょっと不思議な青春...」 by Tokyo16


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2012/10/16 好印象 by (表示スキップ) 投票履歴 / プロバイダ: 27699 ホスト:27776 ブラウザ: 3458(携帯) [編集・削除/これだけ表示]
感じた事感動/美しい/悲しい/考えさせられた 
ストーリー最高(+3 pnt)
キャラ・設定とても良い(+2 pnt)

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