[アニメ]少女終末旅行: 2018/02/08 E・カリング


しょうじょしゅうまつりょこう / Shoujo shuumatsu ryokou
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[推薦数:4] 2018/02/08 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:110(76%) 普通:12(8%) 悪い:22(15%)] / プロバイダ: 16710 ホスト:16751 ブラウザ: 5171
2017年を締めくくるのに相応しい珠玉の一品でした。
ふたりの少女の取りとめもない会話が大半を占め、ことさら盛り上がりがあるわけでもなく見える中に、
作者は並々ならぬ意欲をもって観るものに何かを感じさせようとしていると、感じました。

映像と音・BGMの混成によって観客の中にさざ波を立て、観客は「自分は今何を感じたのだろう」とその波の形を読み取りたくなる、
そんな芸術性のある作品。
そうして観客は、寂しくもの悲しく、いじらしくもあたたかい光景を目にすることになるでしょう。

主人公は慎重でやや神経質なチトと、大らかで衝動的なユーリの対照的なコンビ。
ふたりが生きてゆくよすがを見出すことが物語の主軸で、
また、物語には様々な謎が配置されたりしていて、世界の真相といったものや謎解きに興味が引かれたり、
あるいは微百合を好む層の期待に応えたりする創りにもなっています。
でもそれらは表向きの趣向であり、そういったものよりも何かを感じさせることのほうに、より軸足を置いているように思える創りです。

この作品、属性投票では音楽にめったにつけない「最高」をつけました、
はじめに書いたように、この作品ではBGMが非常に効果的で、ひときわ大きな役割を担っています。

主人公のふたりは、普段は生きるために食料と燃料を探して旅をしているというよりも、
食料と燃料を探すために生きているようにも見える、くすんだ世界なのですが、
ふたりがいつもと違う何かを始めると、BGMがはずむようなものになって、生命の焔が少しだけ勢いを増すことが表現されます。
するとそれを観ているこちらも安堵を感じることになる、
生きる目的がほんの少し見つかったとき命の焔が少し大きくなる、これがいい、それだけでいいと思えるのです。
それによってこの彩の少ない世界が美しく感じられてきます。

また一見して主人公のふたりがかもす空気と、画面全体から感じられるもの悲しさに大きな乖離があるのが判ります。
のんきな絵柄と会話で覆い隠されていますが、ケッテンクラートはいつ壊れてもおかしくないですし、
食料か燃料の調達が出来なくなったときに死が確定することになるので、ふたりには未来は閉ざされているのです。
この落差によって否応無く、しかも強烈に絶望を意識させるものになっています。
実際カナザワもイシイも希望が潰えることが描かれ、世界もふたりの運命も、終わりに近づいていることが示唆されます。

でもこの「落差」は単に絶望の大きさを際立たせるための演出というだけではなく、
ふたりがそれを受け入れていることも表わしているのだと思えてきます。
自らの意志ではない死は拒むものの、すでにいずれは命が尽きる運命を受け入れているのです。
絶望を受け入れた上での前向きさであり、作中に「絶望と仲良く」という象徴的なセリフが挿入されますが、
ではこのことから観ている者は、何を感じることができるのか。

ここにBGMのもっとも重要なはたらき所があったと思うのです。
ふたりは自らをこのような境遇にさせた世界に恨み言を言うこともなく、あるがままを受け入れているようです。
ふたりの旅はまるで「人類という宴」の跡を観て巡っているかのようで、
歴史が終わる時というのはこういう感じだろうかと、世界が滅びるまでの人類史を俯瞰する感覚で、
失われた人類のかつての営みに思いをはせ、
ああ人類はとうとうこれを最後まで上手く出来なかったなあとでも言っているようにも思えてきます。

そしてふたりの緩い雰囲気に過酷な背景が翳を射していますが、BGMがその上からさらにそれらをすべて包み込むように用いられているのです。
9話ではたとえ不都合な相手であってもその中にある思いを認め肯定する、共感という人類の美点を描き出していました、
このときに流れたBGMが「main theme」だったのがまた示唆的です。
BGMがふたりを優しく包み込むとともに、人類のすべてを包み込んいでいます。

滅びたあとの世界でふたりの死を見送る者はもう誰もいない、その代わりにふたりを抱擁する。
それととともに人類史をもまるごと抱擁する、自らを滅ぼした愚かさを含めて。
降り積もる白い雪が地上にあるものを包み込むように、分けへだてなく。
母親がわが子にするように。
来し方をねぎらうかのように。
なにもかもを肯定する。
そんな子守唄ともレクイエムともとれるイメージがこの上なく美しく感じられてくるのでした。

一見少女のほのぼの風味のやりとりの裏に忍ばせた物悲しい情感こそがこの作品の本旨であり、
そこに死にゆく者、滅びゆく者への尽きることのない共感が込められたもの。
静謐な世界の中に、詩的で清らかで、神々しい美しさがある、
それがために寂しさと物悲しさが素敵な気持ちに思える作品でした。

評価は文句なしに「とても良い」です。

でも最終話のEDは「静寂ノ旅路」のほうがよかったかな、
これと「main theme」「瞳ニ映ル景色」「終ワリノ歌」の4曲は、この作品を味わうために絶対に外せない曲。
はじめはてっきりEnyaだと思ってしまいました、でもある意味Enyaよりも濃いです。
[共感]
2018/02/10 途中まで視聴していましたが、仕事が多忙で不本意ながら途中切りになっていた作品です。改めて1から見直そうと思わせてくれる評価投稿に感謝いたします。 by 無慈悲1020



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