[アニメ]この世界の片隅に


このせかいのかたすみに / Kono sekai no katasumi ni
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アニメ総合点=平均点x評価数747位5,631作品中総合点39 / 偏差値53.42
アニメ平均点7位2,689作品中平均点2.60=最高/15評価
2016年アニメ総合点3位235作品中
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映像2.75(最高)8
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原作:こうの史代
監督・脚本:片渕須直
アニメーション制作:MAPPA
プロデュース:GENCO
日本 公開開始日:2016/11/12(土) 映画
公式サイト
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最終変更日:2016/08/20 / 最終変更者:mosukuwa / 提案者:mosukuwa (更新履歴)
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2017/04/15 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:54(70%) 普通:12(16%) 悪い:11(14%)] / プロバイダ: 163 ホスト:377 ブラウザ: 10144
間を空けずに何回か観に行きましたが、もう一度観に行きたいくらいです。昨年は90本以上の映画を観に行きましたが、個人的には2016年観た中でも一、二を争う名作だと思います。アニメの中で、というのではなく、映画全体で、です。

さて、恥ずかしながらのんさん=能年玲奈さん改め、ということを知らなかった私は、初回観に行った時、アクセサリーやパンフレットの写真を観てもまだ、「世の中には似ている人がいるもんだなぁ」などと寝惚けた感想を抱いていました(口に出して知り合いとかに言わなくてよかった(汗))。

それはさておき、こののんさんの声の演技がすごくいいです。すずさんの少女時代においては、少し太めの声なので、最初は若干の違和感を感じましたが、慣れてくるとすずさんの素朴さにとてもマッチしていることがわかります。さすが監督がこの人しかいない、と請うて選んだ声です。最初に演技と書きましたが、昨今の専業声優さん達のような演技巧者というわけではないのですが、すごく印象に残りますね。

この映画、ポケッとした主人公すずさんの目を通して、広島から呉での戦時中の日常を描いています。このすずさん、口から発することばについてはあまり得意ではありません。しかしながら特別な能力を持つすずさんの「みぎて」にかかると、とても鮮やかに広島や呉の風景や、日常が描き出されます。ある方がブログで「実は主人公はすずさんのみぎてなんですよー」というところから上手に論じられていたのですが、私はどちらかというとストーリーテラーに近いかな?と思いました。いずれにしても重要な役割を担っています。

そのみぎてが姪っ子と共にあんなことになってしまう際の観客まで巻き込む喪失感は、映画で感じたものとしては最大級でした。
ただ、この映画はそこで悲惨だ、酷い、恐ろしい、だけに終わらせず、きっちり優しい気持ちで終わらせるところがよかったですね。

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悲惨さばかりクローズアップされがちな戦時中にだって、これだけの生活があった。子供は当たり前のように家の手伝いをし、大人は隣組に代表されるような地域の助け合いを大事にしていた事がよくわかります。

原作も追いかけて読みましたが、コミックというには違和感があります。漫画・・・それも本来の意味合いかな。絵巻物や・・・ああ、北斎漫画をイメージするといいかもしれませんね。そしてこの映像化は原作の雰囲気はそのままに、さらに色彩豊かに描かれています。白波がウサギとしてイメージされるシーンなど、原作にもありますが動画になって非常に心に残る名シーンとなりました。

次に音楽。コトリンゴさんの紡ぎだす歌、音楽が作品の情感を高めます。
こちらものんさん同様監督が切望して配された方だけあって、物語とのシンクロ度合いが半端ないですね。といって映画の邪魔になったりしないのがいいです。
優しい歌声とメロディが心に残ります。

◯反戦を押し付けない演出

私自身、別に好戦的であったり核兵器しを所有した方がいい、などと思っているわけではないのですが、反戦・反核メッセージの色濃い作品が少々苦手なところがあります。それはひとつに小学時代、学校の講堂で見せられた映画がトラウマになっているのがあると思っています。
その映画は確かヒロシマについての作品で、「人間をかえせ」という題名だったと思うのですが、これがかなりキツかった。被爆体験を持つ詩人の作品を題名にしており、それにメロディをつけた主題歌もなんだかおどろおどろしかった印象です。

その点でも「この世界の片隅に」は戦争を無益なものとしつつも、決して押し付けがましくないのがいいです。見終わった後味も悲しさ切なさはありますが、爽やかでもありました。

2017/02/23 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:1966(57%) 普通:683(20%) 悪い:778(23%)] / プロバイダ: 25514 ホスト:25710 ブラウザ: 9786
『シン・ゴジラ』、『君の名は。』の大ヒットの直後、また意外なところから現れたヒット作でした。
2016年は恐ろしいほどに注目作が登場しては劇場を独占し続ける年でしたね。未だその余韻は留まらず、『君の名は。』が公開している横で、この『この世界の片隅に』は上映劇場を増やしてたり。
そんな中で、近くの劇場で満を持して本作がやって来たので鑑賞しました。

一言で言うと、「戦時中を舞台にした日常」ですね。
端から見ればどこまでもしんどい事が続く世の中、「普通でいる事」を戦いとして生きる強い人々の生活を見る事が出来るのが本作でした。
人を恨む描写、戦争を憎む描写、人の死を悲しむ描写、勿論あるんですが、それでもただ普通に生きていく事・生きていこうとする人々の姿がとにかく強い。ここまでのんびりしていて、エネルギッシュとは無縁の作品なのに、どこまでも人間の強さが見えて、大きなドラマもない(ある人物の死が切欠で物語の様相が激変する事はない)のに人々の想いは確実にある。
死んでほしくない人物も死ぬし、幸せになろうとしている人が挫かれていくし、死体は腐るし、所謂、「鬱アニメ」にあるような描写だとか『火垂るの墓』みたいな暗い描き方の作品たちと共通する場面こそあっても、そんな辛い事すべて抱え込んで日常を過ごすところがとにかく「良い」作品でした。
尤も、当時の人も決してこんな底抜けに明るい生き方なんてしてなかったかとは思いますが、それでも妙にリアリティを感じるというか、作り込まれているのが良くわかる内容でしたね。
当時の生活とかは少々勉強してたり、水木しげる等の漫画で読んだ事があったりはしましたけど、その辺を知ってると確かに「なるほど」と思わされる場面は結構ありました。

説明がない場面は多いので見ながら察していかないとならないのは、昔ながらの日本映画や芝居のようでかなり良かったですね。
裏ドラマと言うほどではないけど、背景の多少の変化の中に「登場人物が何をどうしてそれを変えたのか」みたいな想像の余地があって凄く面白いです。
これも非常に難易度の高いものまであって、「原作では周平がある人物と恋仲だった」という事実に始まる三角関係を仄めかす描写があるとか。未読だったら絶対気づきませんわ。

伏線が度々あって、すずが大人になって出会う人々は子供の時から会っているんですけど、却ってそこは嘘臭いとも思えてしまいましたね。
まあ結婚相手の周平は向こうから呼びつけただけに仕方ないにせよ、遊郭のリンさんはあからさまにすずの幼少のワンシーンとリンクしていて変にドラマ仕立てだったのがなんかイマイチでした。むしろ作品内であからさまにスイカの話題を出してしまうより、ここではスイカの話もせずに全く座敷わらしと関連づけずに、最後の最後のエンドロール後に突然見せられた方が自然に驚けそうな感じ。
あんまりにもストーリーラインを綺麗にしすぎていて、示唆されている事実が身内で繋がっているのはフィクションって感じで、この作品を見て感動したポイントとは少し食い違いました。

音楽や作画に関しては申し分なし。
とりわけ、作画に関してはおそらく原作に限りなく忠実な物を動かしているみたいだし、空襲の場面には映画館でそれを対体験させるような迫力が感じられましたから、「映画館で見た方がいい」は紛れもない事実だったのだと思いましたね。まあ、テレビでも楽しめない事はないかと。
時代考証もきっちりしているようですが、説明不要で見られる(よね?普通は…)ようなくらいにおさめられていて、基本的なストーリーや物語に関わってくる憲兵や闇市などの話はそんなに難しくもないくらいに見せられてます。

総じて、面白くも見られて勇気づけられる内容であり、アニメーションとしても手を抜いておらず、細かい場面を深く掘り下げれば勉強にもなるであろう作品です。
これはもしかすると、後々は小学校とかで上映される映画になっていくんですかね?そういう場面で見せても恥ずかしくない良い映画だったかなと思います。
評価は「とても良い」です。

2017/02/10 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:581(74%) 普通:190(24%) 悪い:17(2%)] / プロバイダ: 11608 ホスト:11541 ブラウザ: 4894
すごい作品。何から何まで、当たり前のように作られているのに、その当たり前の水準がとんでもなく高い。風呂敷包を一人で背負う時に、壁に包みを押し付けて支えながら風呂敷の端を胸の前で結ぶ。そんな当たり前の演技を当たり前のように描いている。
そして時代考証を徹底し、舞台に関する資料を広範に収集したのだろう。その時代、その場所を正確に精密に再現しようとしている。そうやって再現された作品にのみ、現実感を超えたリアルが現出するのだ。

絵柄は、原作の色を強く残したどちらかと言えば淡い色彩と柔らかなタッチなのだが、それによって描かれる現実が遠ざかったりする事はない。あの時代に何が起こり、人々がどのような境遇にいたのかを、余す事無く描きぬいている。
作中で使われる戦争の音(落下する爆弾の破片が屋根瓦に当たる硬質な音、機銃掃射の弾丸が地面に突き刺さる重く鈍い音、炎が立ち上っていく静かな音、などなどなど・・・)は、極めて凶暴でギョッと身を竦ませてしまうような音なのだが、そのような凶暴な音が作品の中に溶け込んでしまうほど、描かれた絵が真に迫っている。

そこまで力を入れて描かれた映像だからこそ、あの時代の実相を写しえたのだろう。

「防空壕から出て焼津の町の艦砲射撃を綺麗だなと眺めていた」これは、自分が祖母から聞いた話です。たいてい、芋のつるが美味しくないという話とセットで出てくる話ですが、自分にはこの話がよく分からなかった。
戦時中の話は、常に重苦しい雰囲気とともに語られるのが常でありながら、実際にその戦時中を生きた祖母は笑いながら食べ物がまずかった話をし、艦砲射撃が花火のように見えたと言う。本を読んだり、学校で教わったりする話と、祖母から聞く話の間にある齟齬。
それが、その作品を見た事で氷解した。
芋のつるが不味いのも、多くの人が死んだのも、艦砲射撃が綺麗だったのも、話にはならない苦労があった事も、全てがあの時代に継ぎ目なく存在していた事だったのだと。どれも本当の事であり、等しく語られるべき事だったのだと。

そしてその事は、戦争の悲惨さの実相をも写す。

戦争の悲惨とは、悲惨な事が発生するという点にのみあるのではない。悲惨ではない、悲惨であってはならない日々の生活が、何の継ぎ目もなく悲惨な事へと転化してしまう事が悲惨なのだ。しかもそれは自然災害のように一回で終わってしまうものではなく、一年の中で何度も、一日の中で何度も、その悲惨への継ぎ目なき転化が起こるのだ。
「戦時中は重苦しいだけの時代ではなかった、人々はその中でも笑ったり喜んだりしながら幸せを模索していた」のではない。「笑ったり喜んだりした次の瞬間に、その人達が爆弾に吹き飛ばされる」時代だった。
ただ爆弾に吹き飛ばされる事のみが悲惨なのではない。その爆弾が吹き飛ばしたものが、人の命だけではなくそれまで存在したはずの幸福をも吹き飛ばしてしまったことが、悲惨さの実相なのだ。

この作品は、そこまで踏み込んで戦争を描いたのだと思う。

作品に投じられた技法や技術に関しては詳しくないので分からないが、現時点におけるアニメーションの最高到達点なのではないだろうか。だからこそここまで戦争を描けたのだし、あの時代を生きた人達をここまで描くことが出来たのだと思う。
時代と場所と人間を可能な限りリアルに描ききったからこそ、戦争をもリアルに描き出すことが出来たのだと思う。

そのため、安易に感動とか出来る作品ではなく、何度も何度も深く考えを巡らせながら作品を思い返す必要のある作品なのかもしれない。

[推薦数:1] 2017/02/07 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:226(75%) 普通:47(16%) 悪い:28(9%)] / プロバイダ: 1830 ホスト:1884 ブラウザ: 5171
【良い点】
観てきました。必ずしも賞をとったからというわけではないです。良い意味で,これほど言葉で表現するのが難しい作品に出会えたのは,久しぶりです。

反戦というテーマが,根底にはあるのでしょうが,それだけではない70-80年前ので庶民の生活,特に女性(すず)の視点から描いた,日々の苦労が醸し出されています。現代のわれわれにも理解できる感性の合った初めての試み(作品)ではないでしょうか。

この作品を十分に堪能するには,このころの時代の思想や生活レベルの予備知識があった方がいいとは思いますが,なくても,観た後から,調べてみるのも面白いと思います。

今までの反戦映画は,実写版にしても,「悲惨さ」を前面に押し出すのが,普通でしたが,血なまぐさいものだけで,戦争時代を語るのは,現代では,かえって非日常でピンと来ないのでしょうね。

永遠の0がキネマ旬報に顔を出さなかった?のもそうなのかもしれません。ほんの少しの幸せな日常生活の中にに,食糧不足や闇市,人が亡くなる侘しさの対比は,これまた見事な表現でした。

呉は海軍の拠点,少し離れたとなりの市の広島は明治時代からの陸軍の根拠地のあった所です。アメリカ軍からの攻撃に対して,どのように人々が,対処し苦悩したのか,庶民レベルでよくわかりましたし,まだのほほんとしていた戦前と戦後の混乱した様子も描いたところにもこの作品のすそ野の広さがあります。

【悪い点】興行的なバックアップのない,無名の作品が,キネマ旬報で取り上げられて,各映画館とも上映スケジュールのやりくり(割り込み)をするのに苦労していると思うが,上映館がまだ少なすぎる。

【総合評価】ジャンルが全然違うじゃないかとお叱りを受けるかもしれませんが,「艦これ」をはじめとして,こういったアニメっていったいなんなんだろうという疑問とズレを感じました。

実写版だとしたら味もそっけもない作品になると思います。アニメならではの柔らかい表現と70年前の現実が,先ほども述べたように対極をなしてよりもの悲しさを秘めた作品に仕上がっています。

2017/02/01 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:6(75%) 普通:1(12%) 悪い:1(12%)] / プロバイダ: 12297 ホスト:12369 ブラウザ: 7429
【評価】
<脚本>
原作漫画のテンポ感を損なわず、サクサク・テキパキと進むストーリーが心地よいです。
マイペースな主人公と、のほほんとした雰囲気の広島弁・呉弁に頭が支配されるので、情報量が多さが苦痛にならないし、展開の速さについていけないということもありません。絶妙のバランス感だと思います。
カットされたエピソードが、エンディングで補完されるのも嬉しかったです。

<画>
日本の手描きアニメーションのレベルはここまで高かったのか!と驚愕する人物アニメートのすごさ。こまかな表情や動きを丁寧に、丁寧に描いて紡ぐ職人技が全編にわたって展開されます。
また背景美術とアニメ絵のカラーマッチングなども気をつかわれていて、やわらかで優しい雰囲気を作り上げるのに貢献しています。これは空襲の場面と激しい対比を見せることになりました。

<声の演技>
のん(能年玲奈)の演技はすでに絶賛されつくしていると思いますが、周囲の人物もとても良かったです。
とくに、すずを取り巻く男性(周平さん、哲っちゃん)のバランスが絶妙でした。哲を演じた小野大輔さんの「ははは」という笑い声のニュアンスが切なかったです。

<音楽>
生楽器中心で、チャーミングなサウンドトラックだったと思います。ピアノ演奏がとてもうまくて、キャラクターの感情をよく表現していたと思います。この映画を見るまで、コトリンゴさんのことを知らなかったのを恥じました。

【感想】
空想癖の激しい天然系の主人公なので、現実の話なのか夢の話なのかわからず、初見だと混乱するかもしれません。
まあでも、ぼーっとしてる主人公なので、そんなもんだよなって納得できてしまいます。ぼーっとしたまま終わらない(終われない)のが、この映画のすごいところだと思いました。
タイトルの通り、あの時代の世界の片隅にいる人の日常を描いているだけの映画です。その日常を否定してくる出来事(この映画だと戦争ですが)に対し、人は常に無力であることを痛感します。平凡な日々に感謝していきたいと考えさせられました。

2017/01/21 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:233(50%) 普通:65(14%) 悪い:169(36%)] / プロバイダ: 2620 ホスト:2469 ブラウザ: 8851
【総合評価】
政治色がまるでなく、悲惨さや悲劇を売りにしているわけでもない
ありのままを描いた戦争映画

ありのままと言ってもフィクションではあるが、それでも驚きなのは登場人物のリアルさ
大体の人物に奥行があってこれまでの境遇を深く語らないにしても感情の揺れ動きの映し方が非常に丁寧で、どの人物にも共感しやすい
感情の出し方もただ怒ったり泣いたりじゃなくて出来事に照らし合わせるように出されるので感情のふり幅もフィクションであるにも関わらず、非常に繊細

先ほど悲惨さを売りにしているわけではないと書いたが悲惨な出来事は作中で無いわけでは無い
戦時中を映しているだけあってあっさりと身近な人が亡くなっていくが、それに対して一々悲観的なBGMをつけたり、誰かが涙を必ずしも流すわけではない
それこそが押し付けがましさの除去となっており、身近な死を当たり前のように受け入れなくては前に進め無かった激動の時代の人々のあり方を見せられた気がする
また、人物以外の時代背景もディティールが非常に富んでおり、街並みの背景等は地味だが見どころ
特に腕を失った後の食卓シーンがさりげなく箸からスプーンに変わっているシーンは一見どうでも良く見えて生活感のある良いシーンです

先と同じようにまた前述した話を一つだけ否定しておきますが、ただただ泣き叫ぶシーンも無いわけでは無いが、あそこが作中での感情の揺れ動きが初めて静から動に変わるシーンで、これまで守ってきた生活や努力が無意味だと言わんばかりの突然の終戦宣言に対する嘆きなんです
良い結果で終わらないにしてもあれだけ体張ってやったことの一つ一つがラジオの放送一つでもう終わるんで!と突然告げられては怒りたくもなるし嘆きたくもなる
それまでのすずさんの溜めこんだ想い、不満、右手を無くした結果等がここに集約されている気がします。
だからこそやりきれないし、どうしていいか分からない。それでいてこの不条理も押し付けがましくない

本作のもっとも特異な点は戦争映画にありがちな悲惨だぞ〜戦争って嫌だぞ〜という反戦の押し付けが全くない事
別に戦争が好きになる映画を作って欲しいわけじゃないが、そんな作品は学校の授業で見て戦争は大変だと思いましたと書くぐらいしか出来ないのである
しかし、本作は激動の時代を生きる人々、一家の戦時中の生活を根強く生きる姿を映す事で生きる事の尊さ、人が生きる意味を嫌味や説教臭さを感じさせる事無く映している。また、冒頭に書いたように政治思想、いわゆるイデオロギーも感じるシーンが全く無く出兵に関しても帰れなくなるから大変、と今でいう転勤のような描かれ方をしており徴兵=お勤めという価値観もごくごく平然と映される
一々解説は入れず当時の感性で映されていくからこそ、ありのままの戦争時代の日常と感じ取ることが出来るのかも…

[推薦数:1] 2017/01/09 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:11(92%) 普通:1(8%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 15242 ホスト:15606 ブラウザ: 7471
いやいや!凄いアニメ映画を観てしまいました。
何故、日本のアニメ界は素晴らしい作品を生み出し続けることができるのだろうか。

本作に関しては泣ける映画であり、女優ののんさんが声優に挑戦していて
絵柄が素晴らしいというくらいの事前知識しかない状態で鑑賞しました。
パンフレットの表紙などからして反戦映画かなあと思っていたのですが、全然違いましたね。

一番に目を引いたのが、登場人物がとにかく明るいこと。
残酷な出来事が日常茶飯事に起きる辛く厳しい時代の物語のはずなのに、皆、前を向き淡々と人生を歩んでいきます。
「空襲がなんだ!そんなことで立ち止まってしまうほど私たちは弱くないし暇でもないんだ。」と言わんばかりです。

明るい戦争映画というと、やはりアメリカのハリウッド映画が思い浮かびます。
アメリカの戦争映画の明るさというのは「俺たちの国は強いのだ!」という自信からきているものですが、
本作から放たれる正のエネルギーというのは、それの比ではありませんでした。
ようやく日本でも明るい戦争映画が作れるようになったのかと、何だか感慨深くなってしまいました。

映画館の観客は、確かに皆、泣いていました。ただ、それは「感動したから」などと言う単純なものではないと思います。
本作は、戦前から戦中にかけての時代を描いています。モノも金も平和も何もかも存在しない世界なのに、皆、心は豊かです。
柔らかなタッチで描かれた呉の街並みや海、人々の笑顔などは優しさに溢れ生き生きとしていて、豊かな心の写し鏡のようです。
それなのに、これほどモノに恵まれた現代社会において何故、皆、心が乾ききって余裕がなく殺伐としているのだ。
本当の幸せって何なのか。そこのジレンマによって、つい涙が流れたのではないでしょうか。少なくとも私はそこで泣きました。

どんな悲劇が起ころうとも、前向きに淡々と生きていたすずが初めて感情をむき出しにしたのが玉音放送での終戦宣言でした。
「ふざけるな!私はたくさんの大事なものを失ってきたが、一生懸命本気で生きてきたんだ。何が戦争止めますだ!」
彼女は「まだ5人残っている。左手も両足もある。」とまで言っています。物凄いセリフですよね。
これには戦争をし続けることで、これまでの厳しかった人生と今ある日常を肯定することになるからでしょう。
それらが終戦によって「過去のモノ」となってしまう恐怖もあったのだと思います。
その一方、全く覚悟が感じられない身勝手な終戦宣言に対する怒りとが合わさって、あのように感情が爆発したのでしょう。
しかし、次の瞬間からまた、普段通り淡々と明るく人生を歩んでいきます。

本作は、現代社会で苦しむ人々に向けたメッセージだと思います。
戦中を生き抜く明るい人々を通じて、人間はどんな困難の中でも生き抜くことのできる
エネルギーを秘めているのだということを伝えたかったのだと思います。
エンドロールですずの失った右手が観客に向かって手を振ります。
これは戦争で亡くなった人々からの、現代を生きる人々に向けたエールだと思います。涙が流れました。

何者にも侵すことのできない人間の尊厳を堂々と描いた傑作です。勇気をいただきました。

[推薦数:1] 2016/12/28 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:725(75%) 普通:138(14%) 悪い:108(11%)] / プロバイダ: 11433 ホスト:11538 ブラウザ: 8385
正直、見に行くのにかなりエネルギーを使った。「良くできてそうだなぁ」と思ってたけど、スペ9を
釣る「エサ」を微塵も感じさせないのだから。でもがんばて見に行ってホント良かったと思っている。

私はお説教臭い話はキライだし特に反戦を前面に押し出してくるのはとっても苦手。だけどそれは
杞憂だった。本作の言わんとする物は「ほんのちょっと前の日本人はかくも懸命にいきていた」だ。

ちょっとぼーっとした主人公すずには特別なドラマは無い。好きだきらいだと関係なく結婚し、知ら
ない家に嫁入りする。食糧事情は厳しいから日々の食事には工夫がいるし着るものもつくろって
使う。そんな彼女の日常と関係ないところで戦争が始まり、生活はだんだんと厳しくなっていくが
すずは相変わらず。空襲警報が鳴って防空壕に入るのもどこか機械的だし憲兵に軍艦の写生を
咎められても「ぼーっとしたすずがスパイなんてありえない」と爆笑する家族たち。

戸締まりなど縁のない木造家屋。娯楽はせいぜい絵を描く事。何か夢や希望がある訳でもなし。
職業も結婚相手も選択肢は無いに等しい。それでも一生懸命に生きている、特に意識もせずに。
ほんの70数年前の人々はこれほどまでに自分の人生を選べず、楽しみも無いのにかくも懸命に
生きていたのだ。対して私はどうだ?娯楽も食べ物も溢れ、特に責任もなくだらだらと生きている
としか思えない。なんという事だ !

敗戦の色が濃くなり、遠くの物と思っていた戦争が空襲によって一気に身近になってくる。暗く
なりがちな話はとにかくすずののんびりとした語りと淡い色使いと柔らかい線の絵で深刻になら
ない。ぐりぐりと動く作風では当然ないが実は要所々々で枚数は使っている。また艦船の
ディティールはかなりしっかりして、キャラクターの服装や町並みなどのリサーチも徹底している。
主役ののんさんの技量に不安を覚える方もあろうが(当然、私も)これまた取り越し苦労で、
作品にマッチしているからか全く不満はない。

空襲で逃げる中で、すずは姪と右手を失う。その後の玉音放送。放送が終わった後「はいはい
おしまい」とばかりに解散していく家族たちにも驚いたがここで初めて感情を発露させるすず
に驚愕する。「なぜ言われるままにがんばって耐えてきたのに、右手も姪も失ったのに、なぜ
勝手に戦争を止めるのか ! 止めるんなら始めるな ! もっと早く終わらせろ ! 」
これまで終戦にこんな感情を発した作品に覚えがない。不平ひとつ言わず自分よりはるかに、
はるかに大きな思惑に従って生きて来たのに。戦争の勝ち負けなど関係ない、大事なのは、
自分の思い及ぶのはごく近くの生活だけなのだ。「終戦」に関する表現の、これまでの作品が
どれほど画一化されていたのか、本作がこれほどまでに個人目線なのか !

戦争が終わり、死ぬかもしれないという心配は無くなった。夫も義理の両親も姉も生き残った。
「誰かが死ぬかもしれない」という一点が変わっただけですずの生活は変わらない。これからも
ぼーっと、でも一所懸命生きていくんだろう。誰かが残酷に死ぬ事はないのだから、ちょっと幸せ
になれるだろうな。つらい場面もあったけれど、視聴者がみなすずの幸せを感じ、それを願ってし
まうわずにいられない、素敵なエンディングだった。「君の名は。」「聲の形」と並んでこんな三者
三様な作品が同時に封切られるなんて、日本のアニメはなんと懐が深いんだろう。トータルでは
本作に軍配を送ろうと思う。

2016/12/14 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
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海老名TOHOシネマズにて視聴。
ちょうど用事があり町田まで足を伸ばしたついでに視聴してきましたが
平日の午前中だったにもかかわらず満席で驚いた。
しかもほとんどのお客さんが50代〜70代の老人だったのが一番の驚きだよ。
まあ題材が題材だから当然と言えば当然なんだけど、アニメ映画でこういう光景を目の当たりにしたのは
はじめて。「君の名は。」の客席がティーンエイジャーばっかりだったのとは真逆だわ。

原作漫画は「漫画アクション」に連載されてた当時ちょこちょこ読んでました。
こうの史代さんの柔らかい画風でなかったら辛気臭くて読むに堪えなかったろうなあ。

出来栄えとしてはかなり良かったです。
監督が元ジブリの人だったらしいですが軍艦の描写なんか気合入ってて手が込んでるな〜と感心しました。
戦艦大和の甲板で作業している人たちなんかを手書きで描いているところなんか贅沢なつくりだ。

呉の軍港を丘の上から見下ろす構図なんか特に良かった。

戦争中の日常生活を丁寧に丁寧に描きだしていて
必要以上の声高な戦争反対のメッセージや感情に任せたイデオロギーの押し付けなんかを
極力排除していたのが印象的でした。

婦人会のレシピで紹介される戦時中の米を節約するためのメニューの数々が
これまたまずそうでまずそうで・・・・
「楠公飯」の存在ははじめて知りましたがいっぺん食ってみたいわ逆に。

能年玲奈(のん)の演技が光りました。
ちょっとヘタッピな感じがしたんだけど上映時間が過ぎてゆくに従い
キャラクターにぴったりマッチしていくのが不思議だった。
あの広島弁の朴訥な響きが良かった。うちの田舎も広島に近いので(あそこまできつくはないけど)
懐かしかった。

どっか冷めてるというかちょっと突き放した感じが逆に良かった。
すずさんが右手と義理の姪っ子を失うシーンとかもっと絶望して絶叫したりするのが
映画作品としての定石なんだろうけど
そういうこともなく淡々としていて、それが逆にリアリティーと戦争の悲惨さを
浮き彫りにさせてたのが見事でした。
(感情をむき出しにするシーンが戦闘機からの銃撃を受ける場面くらいか?)

今年は本当にアニメーション作品で秀作が多かったけど
その本年度の最後を飾るのがこの作品で良かった。
抑制が利き過ぎててちょっと物足りなく感じる人も少なくないでしょうけど
このさりげなさが映画作品としての価値を上げてます。

呉の軍港や当時の広島市内なんかの描写は素晴らしかったです。
後に原爆ドームになる(なってしまう)広島産業館とか
昭和9年にすでに日本でもクリスマスの風習が輸入されていたところとか。

あと、すずさんが闇市で迷子になった時に
道案内をしてくれた遊郭のお姉さんが艶っぽくて印象的でした。
最後らへんで「遊郭のあたりも焼野原になったで」みたいなセリフがあったけど
あれで「シンドラーのリスト」でパートカラーに切り替わるシーンを思い出しました・・・。

評価は【良い】

[推薦数:1] 2016/12/14 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:11(92%) 普通:1(8%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 5836 ホスト:5662 ブラウザ: 4687
【良い点】
原作を丁寧に追いながら、スタッフのすずさんの気持ちに沿ったような絵画表現に心が熱くなった、ウサギの白波が飛び回る表現や、アメリカ軍機の空を覆う絵画的表現に。祖母や母に聞かされた戦時中の話に近い、戦時下の一般庶民の日常が語られ良くある戦時中のドラマ・映画や反戦を声高に訴える話とは違った感銘を受けた。時限式の爆弾の件は母が友人を失った経験とほぼ同じ話で息をのんだ。のんさんのアテレコは最初は朝ドラのイメージが付きまとったが、終盤には完全にすずさんの声になっていた。広島で出会ったあの娘の原作にないその後がちょっと見れて嬉しかった。

【悪い点】
悪い点という意味とは違うが、2時間の制約があると思うが白木りんさんのエピソードが少なかったのが残念だった。

【総合評価】
所謂泣ける作品でもなければ大感動巨編でもない。CGを使ってると思うがこれ観よがしな使い方ではない。評価に「最高!」というほどの高揚感を持たなかった、本作にはもっと違う言い方をしたい。面白く哀しいこんなアニメが作れるところが日本のアニメーションの底力なのだと思う。本作の原作本が大好きだ、漫画と(やがて出るだろうDVD等の)アニメを大切に持っていたい。

2016/12/11 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:120(83%) 普通:15(10%) 悪い:9(6%)] / プロバイダ: 10352 ホスト:10371 ブラウザ: 5559
初見でまとめるのがちょっと難しい作品。軽く混乱しながら最高評価をつけたいと思う。

【カテゴリーとしては】
戦争物・人間ドラマ・日常系・時代考証・喜劇。
どの要素も入っているのに、どのカテゴリーとして当てはめるのも何か違う。
思うにこういうカテゴライズで収まるような作品ではないんだと思う。
ある時代を生きてきた1人の人生そのものと言ったほうが早いか。

【人生だけでなく】
作品としても伏線・回収が多々あって驚いたり、アニメならでわのファンタジックな演出が兵器とマッチしていたり。

【他にも】
裏の設定を知れば知るほど面白みが増したりする。
対空砲火の煙が色つきなのだが、実は戦果がわかるように史実でも色付きだったとか、箪笥の取っ手が紐に変わってるとか。
すずの妊娠疑惑は栄養失調のための生理不順だとか。作中のちょっとした疑問にも全て解答があったりする。
また実在の人物を出して亡くなった家族がうかばれたと言うエピソードを知ったり。
他にも声優がドハマリしていたり。

人生だけでも濃いのに、作品としても濃いので、初見では混乱しつつ感動しつつ
大傑作を見たなという感覚になっているのが本音。

まとまらなくて申し訳ないが、すずさんの親近感の沸くキャラクター性と、戦時中の暮らしの描写、
ラストの感動は誰でも共感できる傑作だと思う。
日本人ならみんな見ても良いんじゃないの??なんて思う作品だった。

最後に
見終わってからの白米の美味さよ

2016/12/09 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:57(56%) 普通:2(2%) 悪い:43(42%)] / プロバイダ: 5845 ホスト:5847 ブラウザ: 10291
静かな衝撃を受けた作品でした。
戦時中の広島・呉で暮らす主人公を中心に、人々の日常を淡々と描いた本作。
今まで見てきた戦争の映画やドラマでは、戦争が悪いとわかった後世の作品特有の「反戦」のテーマが色濃く打ち出されていたのに対し、本作ではそういったものをまったく感じません。

少なくなった配給をある種楽しんでいる主人公すずや、すずを慕う女の子など、普通の生活を楽しんでいる人々、支え合っている人々が淡々と、そして繊細に描かれていました。
故に戦争映画特有の「見辛さ」は無く非常に見易く、共感しやすい作品として成立しており、所々にホッコリと笑いどころがあるので、つい戦争が起きていることを忘れてしまいそうな程でした。
そして戦争をしている人間とは無関係に鳥や虫たちが変わらない日常を生きている姿がとても印象的でした。

今まで見て来た戦争映画だと、終戦を迎えた時、やっと終わった、と人々が安堵するシーンであることが多かったと思うのですが、本作は違いました。

戦争だから仕方ないと、日本軍は勝利するからと耐え続けていた苦しい生活だったのに、私たちの苦しみはなんだったんだ!とすずが泣き叫んだのです。

ここで大きく感情が揺さぶられました。今までのイメージをぶち壊す衝撃的なシーンでした。
それと同時に、当時の人々にはこういう感情を抱いた人がいたのかもしれないと思わされました。

この作品を見て本当に良かったと思っています。上手く言葉に出来ない強い感動と、未来を生き抜いていく力を貰えた気がします。
この気持ちを上手く言い表せないのが本当に歯痒いのですが、ぜひ多くの方に見て頂きたいと思える傑作でした。

2016/11/29 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:2(40%) 普通:1(20%) 悪い:2(40%)] / プロバイダ: 12395 ホスト:12478 ブラウザ: 8282
【良い点】
・当時の日常を淡々と描いている点。日常の積み重ねが心を揺さぶる。
・原作漫画とは違った良さがある。原作付き映画ではこのファクターがないと見る価値がないので〇。
・ディテールの再現がすごい。資料的価値としてだけで見ても最高レベル。
・主演の「のん」の演技が声優でもないのに素晴らしい。このまま声優になっても良いんじゃないかと。

【悪い点】
判りやすい軸がないので「さあ、感動させてくれ」というスタンスで行くと拍子抜けする可能性がある。
言い方は悪いが「君の名は」のような王道ストーリーで感動できる人には合わないかもしれない。

【総合評価】
全ての日本人が見るべき映画。

[推薦数:2] 2016/11/20 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:282(49%) 普通:213(37%) 悪い:83(14%)] / プロバイダ: 7712 ホスト:7726 ブラウザ: 5171
皆が笑って暮らせるといい。
広島と呉が舞台の戦時下の暮らしを描いたアニメ。

見る前に仕入れた事前情報は、のんが声優をしていること、結構泣けるらしいということくらい。どういう性格の作品かも確認せずに映画館に行きました。
振り返れば、一切退屈せず、引き込まれるように見ることができた作品でした。
泣けるかどうかという点については、泣かせることを狙った作りではないようですね。涙は塩分の無駄という言葉がありましたが、泣いている状況ではないという気配がこちらにも伝わってきたのかも知れません。
私は映画館では泣かずに済みましたが、見終わった後からじわじわくる感じで、その日に焼き鳥屋で結構飲んだあと家に帰って思い出したら少し泣けましたね。

映像も音楽もCVもレベルが高かったです。
背景は水彩画のようで優しく綺麗。人物のデザインは素朴な印象ですが、スクリーンの中ではとても活き活きしています。
まず、タイトルのタンポポの映像が個人的には印象的でした。最後まで見ると人も生まれ故郷から遠く離れた地べたの片隅に住処を見つけるタンポポみたいなものかねと感じました。
また、初めての空襲の光景を絵画のように感じてしまうシーンがとても印象的で、ドイツの現代作曲家が9.11テロの映像を見て芸術だと言ったのを思い出しました。他にも似たような見せ方のシーンもありましたが、すずの目を通した世界の描き方がとても良かったなと思いました。

前半は昭和初頭から戦時下の暮らしを丹念に描いていました。
後半は、誰もが大切なものを失うことが日常差茶飯事になり、生きているだけで良かったと思わせる状況になる。そうだよな、すずは絵が好きだったんだよな。後半は、いつのまにかそういう事も思い出しにくくなる切迫感がありました。
北條の家とその周囲の出来事が日を変え季節を変え丁寧に何度も描かれていたのも印象的で、ベースとなる日常が強固に描かれていたからこそ、それが崩されていく怖さがリアルに感じられました。
ただ、苦しい生活の中でも僅かながらも嬉しいこともあったり、危険が迫る状況でも自然の風景は綺麗だったりするし、人との別れがある一方で人との絆は深まっていく。そういう描写が積み重なることで前に進む気持ちが持てることが自然と感じられました。

時代や社会環境は今と違えど、登場人物には過去の人という感じがしませんでしたし、2時間という短い時間の中でリアルな日常感や人と人との関係の変化、濃ゆい時の流れが十分に描かれていました。
敗戦物の作品は、主観としての辛い苦しい体験や悲惨さが強調されがちなイメージがありますが、この作品はそこまでではなく、おっとりした主人公すずの眼を通して描かれているためか全体的に感情を抑えたソフトなタッチで、さらに視点を引いて時代を描き出したような雰囲気もあります。

[推薦数:1] 2016/11/14 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/]
by (表示スキップ) 評価履歴[良い:31(57%) 普通:9(17%) 悪い:14(26%)] / プロバイダ: 11215 ホスト:10935 ブラウザ: 11672
【良い点】
細かいところまで丁寧に描かれているところ。面白いところ。悲しいところ。人間が描かれているところ。

【悪い点】
なし。

【総合評価】
主に戦中、広島の呉に生きる人々を描く。この映画には一つに定められるテーマというものがない。それなのにもかかわらず、素人にも見やすく、かつ奥深く作られている。派手さがないのがいい。
「この部分が良かった」とは言えないというのが良い。人間が描かれているといっても、人間の内面にゴリゴリ行く感じではなく、人間が生活しているということに対して丁寧な描写が積み上げられている。
具体的な感想を一つだけ言うなら、絵を描きたくなる映画かもしれない。生きている瞬間瞬間というものへの思いが強くなる映画。面白いところも重要で、面白いところもあるからとてもいい映画になっている。

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2017/05/29 好印象 by (表示スキップ) 投票履歴 / プロバイダ: 876 ホスト:757 ブラウザ: 10182 [編集・削除/これだけ表示]
感じた事感動/可笑しく笑える/楽しい/美しい/考えさせられた 
ストーリーとても良い(+2 pnt)
キャラ・設定とても良い(+2 pnt)
映像とても良い(+2 pnt)
声優・俳優とても良い(+2 pnt)
音楽とても良い(+2 pnt)

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